オシャレすることで救われた、格闘の日々

2008年秋のことです。入浴中に左胸にしこりを見つけました。初期の乳がんでした。初めに訪れた病院で乳房の全摘手術を勧められたときには、目の前が真っ白に。

それでも、まわりからの助言もありセカンドオピニオン、サードオピニオンを求めて結果的に3つの病院で診察を受けました。最後に訪れた病院で乳房の温存手術ができると告げられたときには、心底、胸をなでおろしました。翌年の2月には入院、無事手術を終えましたが、そこからが、がんとの闘いの本当の始まりだったんです。

術後の治療の中でなにより一番辛かったのは、抗がん剤治療です。吐き気や痛みに苦しめられるだけでなく、髪はおろかまつげも眉も抜けるなんて……そんなこと、あってもいいんだろうか! 覚悟を決めて臨んだものの、治療が始まって日ごと落武者のように様相を変えていく自分を見る度、心底落ち込み、ひきこもり気味になりましたね。

でも、いくらひきこもっていたくとも、出かける用事もできますよね? そこでメイクをはじめ、ウィッグを買ったり、スカーフを頭に巻いたり……少しでも我が身に受けたダメージをカバーしようとオシャレをするうち、だんだんと気持ちが前向きになっていったんです。

モデルという仕事をしていたにもかかわらず、オシャレをすることでこれほど気持ちが華やぐのだと……あの辛かった日々にあらためて、身をもって痛感したんです。

日頃から正しいセルフチェックと検診への意識を

実は私の母も50代のときに乳がん乳がんになっています。母が発症した頃、私は20歳ぐらい。ですから私は、20代後半にはがん保険がん保険に入っていたほどです。ところが、肝心の検診については一度も受けたことがなかった。今思えば、なんて意識が低かったのかと自責するしかありません。

自治体で実施される乳がん検診を受けようとは思っていましたが、補助が出るのは40歳からなんですよね。当時、私は39歳。だから案内が来たら受けようと、のん気に考えていました。

かろうじて行っていたのが、入浴中の自己流チェック。それもしこりができることが多いといわれている脇の下あたりだけ。左胸の乳首の下にポッコリとしたしこりを見つけたのは、本当にたまたまだったんです。自己流チェックがいかに心もとなく、発症を見過ごしてしまう危険性をはらんでいることかと。もし、あの日、乳房全体を触っていなかったら……そう思うと冷や汗が出ます。

初期段階での乳がんには、基本的に自覚症状がほとんどないんです。だからこそ、こわいんですね。私が乳がんになった結果、以前は検診に関心のなかった友人が検診を受けるようになったことを、本当に嬉しく感じています。私が病気をオープンにした理由には、ひとりでも多くの女性に検診への意識を持っていただきたい、という思いがあったからです。

頑張りすぎず、身体をメンテナンスするための小休止を

病気になって一番学んだことは何かというと、シンプルなことです。ただ一言。「頑張りすぎない」。それをみなさんにもお伝えしたいですね。

私は病気になる前は、自分ひとりでなんでも抱え込み背負ってしまう、我慢強い性格でした。いわゆる頑張り屋さんタイプの典型です。一方で、頑張っている私が好き。ここまで、頑張っている私ってえらい。そうやってどんどん自分を追い込んでいました。

今では昼寝が日課ですが、その頃は、昼寝は怠け者のすること! と罪悪感をおぼえるタイプでしたね(笑)。現代社会はストレス社会。ストレスをためないことが一番だけれど、そうはいきません。

だから、例えば検診についても、ちょっと立ち止まる小休止くらいにとらえてほしいんです。忙しさを理由に病院から足が遠のいている方は、普通の健康診断を受けるだけでも、自分の身体と向きあういい機会になるのではないでしょうか。それぐらいの気楽さで身構えないで、自分の身体をいたわる、メンテナンスするという意識を持つことが理想ですよね。

私は今、とてもラクチンになった気がしています。「我慢は禁物」「人に頼ってもいい」という、昔、私の辞書にはなかった言葉が増えたから(笑)。自分のペースで、そして生かされていることに感謝しながら、大切に日々の暮しを営んでいければいいなと思っています。