健康コラム ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!

あなたは知っていますか? 「科学的に正しい」がん予防法 ~実践しよう!がん予防のための生活習慣~

がんは、ある程度予防することは可能な病気です。これまでの多くの研究からそれを裏付けるデータがたくさん出ています。米国ハーバード大学がん予防センターが1996年に発表した報告では、アメリカ人のがん死亡原因の30%は喫煙、30%が食事でした。つまり生活習慣を見直せば、これらのがんによる死亡は防ぐことができた可能性があります。わが国でも、がんと生活習慣についての大規模研究が行われ、信頼できる科学的根拠に基づいた『日本人のためのがん予防法』がまとめられています(生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究班/厚生労働省)。ポイントは5つ。ぜひ今日から実践しましょう。
がん予防の5つのポイント
1. ○○○は吸わない
2. バランスのとれた○○を
心がける
3. ○○はほどほどに
4. 適度な○○を続けよう
5. ○○すぎ、○○すぎを
解消しよう
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ポイント1  たばこは吸わない

●喫煙は、多くのがんのリスクを高める

どんなに健康に良いことをたくさん行っても、「喫煙」だけはやめられないという方がいらっしゃるかもしれません。しかし、たばこの煙には、発見されているだけでも60種類以上の発がん物質が含まれていることがわかっています。

発がん物質は血液を介して全身に運ばれ、体の細胞内にある遺伝子を傷つけ、がんを引き起こします。したがって、たばこの害は全身に及びます。なかでも関係が深いのが肺がんです。特に「1日のたばこの本数×喫煙年数」の数値が600以上だと、肺がんのハイリスク群とされます。そのほか、口腔がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、子宮頸がんなどのリスクも上げることがわかっています。

●受動喫煙にも気をつけて

最近では、飲食店や職場などで分煙対策をとっているところが増えています。その大きな理由に、たばこを吸わない人が他の人のたばこの煙(副流煙)を吸ってしまう「受動喫煙」の害があります。たとえば、妻が自分では喫煙していない場合に夫が喫煙しているグループでは、夫が喫煙していないグループに比べて肺がんにかかる確率が高く、しかも夫の喫煙本数が多いほど高くなったという報告があります。

喫煙している人はすぐに禁煙しましょう。禁煙後、子宮頸がんや喉頭がんでは急激に、肺がんでは5~9年でリスク低下が現れます。長年喫煙してきた人は、「今さら禁煙しても仕方がない」と思うかもしれません。しかし禁煙すれば、その時点でがんのリスクは下がっていきます。

●「節煙」より「断煙」

禁煙は本数を徐々に減らしていく「節煙」より、たばこをスパッと断つ「断煙」のほうが、成功率が高いといわれています。

一人で禁煙するのは自信がない、何度も禁煙にチャレンジしたけれど失敗の繰り返しといった人は、禁煙クリニックや禁煙外来などで専門家のサポートを受けるのもよいでしょう。ニコチン依存症と診断されるなど一定の条件を満たすと健康保険が適応されます。

図:非喫煙者と比較した喫煙者の死亡率(男性)

■愛煙家さんの健康チェック 1日のたばこの本数×喫煙年数=600以上だと要注意!

ポイント2  バランスのとれた食事を心がける

●偏食を避けてリスクを分散

私たちが日々食べている食品の中には、がんのリスクを上げたり、下げたりするものがあります。また、調理や保存の過程で、アフラトキシンやニトロソ化合物といった、がんのリスクを上げる化学物質が生成されることもあります。

同じようなものばかり食べていると、がんのリスクが蓄積されてしまう危険性があります。リスクを分散させるためには、偏りなくさまざまなものをバランスよく食べることが大切です。

●日本人に胃がんが多い理由とは

日本や韓国は世界的に見て、胃がんの発生率が高くなっています。日本には、味噌や漬物、干物など、韓国にもキムチやチゲなど塩分濃度の高い食品がたくさんあります。そのためどうしても塩分の多い食事になる傾向があります。このことが胃がんのリスクを高めていると考えられています。

実際、塩辛・練りうにをほとんど食べない男性に比べ、1週間に1~2日食べる人は1.47倍、1週間に3~4日食べる人は1.75倍、ほとんど毎日食べる人は3.12倍、胃がんの発生率が高かったという報告があります。

●2gの減塩から始めよう

日本人の塩分摂取量は以前に比べ、徐々に減ってきているものの、それでもなお、男性の1日の食塩摂取量は11.4g、女性は9.8g(平成22年国民健康・栄養調査)と高めです。がん予防のためには、1日あたりの食塩摂取量は、男性は9g未満、女性は7.5g未満にすることが勧められます。まずは2g減らすことを目標にするとよいでしょう。

加工食品では、塩分量をナトリウム(Na)として表示していることが多くあります。その際には、次の式で食塩に換算します。

ナトリウム量から塩分量を算出するには ナトリウム量(g)×2.54=食塩量(例)「ナトリウム量400mg」と表示されている場合0.4g×2.54=1.016g

●野菜や果物を十分に

野菜や果物は、食道がんや胃がん、肺がんのリスクを下げることがわかっています。野菜や果物には、老化を招く活性酸素の発生を抑える抗酸化作用のある成分が多く含まれています。たとえば、緑黄色野菜にはカロテン、柑橘系果物にはビタミンC、トマトにはリコピンといった具合です。また、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科には、イソチオシアネートと呼ばれる物質が豊富です。こうした物質が、一部のがんの予防に働いていると推測されています。

世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)では、野菜・果物の1日の摂取量の目安を400gとしています。日本人の成人男性の1日の野菜摂取量は289.1g、果物92.9gで計382g、成人女性はそれぞれ275.3g、112.9gで計390.9gで、男女ともわずかながら目安に達していません(平成22年国民健康・栄養調査)。

ただ気になるのが野菜の摂取量です。国が推進している国民運動「健康日本21」では野菜の摂取目標量を350gとしていますが、どの年齢においても目標量を下回っています。外食をする際は、野菜サラダなどを1皿(約70g)追加するなど工夫をしましょう。

●熱い食べ物や飲み物は冷まして

鍋やシチューなど熱い料理をフーフー言いながら食べるのは、がん予防の観点からはあまりお勧めできません。

熱いものを食べたり飲んだりして口の中やのど、食道の粘膜にやけどをし、炎症が起こると細胞が傷つき、がんになりやすいと考えられています。特に、食道がんのリスクが高まるので、熱いものは冷ましてから口に入れるようにしましょう。

■食塩2gの目安 食塩(3本指で2つまみ)2.0g しょうゆ(小さじ2杯)2.0g 味噌(小さじ3杯)2.1g たくあん(2~3切れ)2.0g いか塩辛(大さじ1.5杯)2.0g 生たらこ(4分の3腹)2.0g 梅干し(大1個)2.5g

ポイント3  お酒はほどほどに

“お酒は百薬の長”といわれますが、これはあくまでも“適度”な飲酒での話。
過度な飲酒は大腸がん、食道がん、肝がんなど、さまざまな部位のがんのリスクを高めるばかりか、心疾患や脳卒中(脳血管疾患)による死亡率も高めます。

適度な飲酒とは、1日のアルコール量(純エタノール量)がおよそ23gまで。ほどほどにとどめておきましょう。

図:アルコール23gとは

ポイント4  適度な運動を続けよう

“運動”と、日常生活の中で体を動かす「生活活動」を合わせて「身体活動」といいます。身体活動量が多いほど、がんのリスクが下がるというデータが出ています。部位別では、男性では結腸がん、肝がん、膵がんで、女性では胃がんでリスクの下がり方が顕著でした。

厚生労働省が策定した「健康づくりのための運動基準2006」では、がんを含めた生活習慣病予防のために、身体活動として週に23エクササイズ(注)以上を行い、そのうち4エクササイズ以上は活発な運動を行うことを目標にしています。今のライフスタイル、体力、好みなどに合わせて、目標に足りない分のエクササイズを増やしていきましょう。

図:1エクササイズに相当する活発な身体活動

■(注)エクササイズとは 身体活動量の単位。エクササイズ=メッツ※×身体活動の実施時間(時) ※メッツとは、身体活動の強さを表す単位。座ってじっとしているときが1メッツ。 3未満=弱い運動、3以上6未満=中等度の活動、6以上=強い活動

ポイント5  太りすぎ、やせすぎを解消しよう

乳がん(閉経後)や子宮がんなどは、肥満との関係が深いことがわかっています。では、やせていれば問題ないかというと決してそうではありません。やせによる栄養不足は免疫力を弱めて感染症を引き起こしたり、骨粗しょう症などのリスクを高めます。

また、中高年を対象にしたBMI(体格指数)とがんのリスクの関係を調べたデータでは、BMI23.0~24.9を基準とした場合、男性30以上の非常に太っているグループと、21未満のやせたグループでがんの発生率が高くなっていました。

そのほか複数の研究データから、中高年男性はBMIを21~27、中高年女性は19~25の範囲に保つことが勧められます。

■BMIの求め方 BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) (例)体重65kg、身長170cmの人の場合65÷1.7÷1.7=22.5

これを機会にがん予防のための生活習慣を実践してみませんか?

協力:オーエムツー(荻 和子)