健康コラム ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!

血圧コントロールで健康づくり

高血圧はメタボリックシンドロームの構成要素の一つ。放置しておくと、動脈硬化や心臓肥大が進み、心筋梗塞や脳卒中、心不全といった重篤な病気が起こりやすくなります。しかし、食事や運動などの生活習慣の改善に努めれば、血圧を下げることは可能です。高血圧と診断された方はもちろん、健康診断などで「血圧が高め」と指摘された方も、早めに血圧対策に取り組みましょう。
コラムINDEX
季節でも、1日のうちでも変動する血圧
家で血圧を測る習慣をつけよう
家庭血圧と診察室血圧で異なる高血圧の診断基準
高血圧を改善する生活習慣とは
まだまだある、改善したい生活習慣

季節でも、1日のうちでも変動する血圧

血圧とは、血液が血管の中を通るとき、血管の壁にかかる圧力のことです。一般には、動脈の壁を押す力を指します。

血圧は、常に一定ではありません。血液は心臓が縮んだときに送り出され、拡がったときに戻ってくるので、収縮時と拡張時では血圧は異なります。

心臓が縮んだとき、血圧は最も高くなります。このときの血圧を「収縮期血圧(上の血圧)」といいます。一方、心臓が拡がっているとき、血圧は最も低くなります。このときの血圧が「拡張期血圧(下の血圧)」です。

血圧は、季節によってその値が異なってきます。冬に脳卒中や心筋梗塞が増えることはよく知られていますが、この原因の一つは、血圧が高くなるからだと考えられています。寒い冬は、熱が外部へ逃げるのを阻止しようと血管が収縮して細くなります。細くなった血管に血液を送るためには、より大きな力(血圧)が必要となり、血圧が高くなりやすくなるのです。

また、1日のなかでも血圧は変動します。通常は、朝の起床前後に穏やかに上昇を始め、活動する日中は高くなりますが、夜にかけて下がっていき、睡眠中は最も低くなります。これには、交感神経と副交感神経からなる自律神経が大きく関わっていると考えられています。日中、身体の活動性が高まると、臓器が多くの血液を必要とするので、交感神経が主として働いて心拍数を増やし、心臓が十分な量の血液を全身に送り出します。そのため、日中には血圧が高くなります。一方、夜や睡眠中には多くの血液を必要としないので、副交感神経が優位になって心拍数が減って血圧が低くなります。

血圧は、体の動きに応じても変動します。特に変動幅が大きいのは起床時で、一時的に急上昇することがあります。これを「早朝高血圧」といいます。

さらに、ストレスがかかったり、緊張すると、血管が収縮して血圧が上がります。医療機関で測ると血圧が高くなる「白衣高血圧」がまさにこのタイプで、医師や看護師の前で緊張して一時的に血圧が上がることで生じます。仕事中に血圧が異常に上がる「職場高血圧」も、ストレスが影響しているといわれます。

ほかにも、本来血圧が下がってくる睡眠中も下がらずに高い状態が続く「夜間高血圧」と呼ばれるタイプがあります。この場合、寝ている間も血管が心臓に負担をかけ続けるため、このタイプの人は、他のタイプの高血圧の人に比べて心筋梗塞などのリスクがより高いといわれています。

なお、受診時には高血圧がマスクをかぶってわからなくなるという意味で、早朝高血圧や職場高血圧、夜間高血圧は「仮面高血圧」と総称されます。

家で血圧を測る習慣をつけよう

仮面高血圧を見つけたり、ふだんの血圧を知るために、ぜひ習慣づけたいのが「家庭血圧」の測定です。ただし、測定に際しては、いくつかのポイントがあります。

測定は、できるだけ毎日、少なくとも週3回、朝晩、決まった時間にします。

朝は、起きてから1時間以内に、トイレを済ませて、朝食を食べる前に測ります。高血圧の治療薬を服用している人は、薬を飲む前に測定します。

夜は、寝る前に測ります。入浴や飲酒の後は血圧が低くなるので、少し時間をおいてから測りましょう。

測った値は必ず記録すること。記録を残しておけば、医師に相談する際にも役立ちます。

カフ(腕に巻くバンド)の位置:心臓と同じ高さになるように 姿勢:1~2分間安静にし、リラックスした姿勢で 
カフの巻き方:上腕の素肌、または薄い衣服の上から少しきつめに ※家庭用血圧計にはいろいろな種類がありますが、腕にカフを巻いて測るタイプが、誤差が小さくお勧めです。

1日の変動を知ることができる24時間血圧計

常に変動している血圧を測定でき、仮面高血圧の発見により有効なのが、24時間血圧計による測定です。携帯型なので、外出先や睡眠中でも測れます。

上腕にカフを巻き、血圧計を肩からさげたり、腰に巻きます。20~30分おきに自動的に血圧が測定されデータが記録されるので、自分で記録をつける必要がありません。

24時間血圧計による血圧検査は、2008年に健康保険の適用となりました。ただし、対象者は血圧の変動が大きい人、夜間高血圧が疑われる人などです。適用対象の人には、医療機関が24時間血圧計を貸し出してくれます。

家庭血圧と診察室血圧で異なる高血圧の診断基準

家庭血圧を測定する際は、1~2週間ごとに上の血圧と下の血圧の平均値を出しましょう。上の血圧が135mmHg以上、または下の血圧が85mmHg以上の場合は、高血圧と診断されます。上の血圧が125mmHg未満、かつ下の血圧が80mmHg未満であれば正常血圧です。高血圧と正常血圧の間は、「正常高値血圧」と呼ばれ、将来高血圧になる可能性が高い、いわば黄色の信号が点滅している状態です。

高血圧に該当する人は医療機関で受診しましょう。正常高値血圧の人は、今のうちに生活習慣を見直し、高血圧を起こさないことが大切です。もちろん、高血圧の人も、生活習慣の見直しと改善は欠かせません。

なお、医療機関などで測定する「診察室血圧」は、緊張して家庭で測ったときよりも高くなる傾向があるため、家庭血圧よりも診断基準がそれぞれ5mmHg高くなっています。

表/高血圧の診断基準

表/高血圧の診断基準

高血圧を改善する生活習慣とは

高血圧を招くさまざまな要因

高血圧は、腎臓の病気やホルモンの異常、服用している薬の影響などによって起こる二次性高血圧と、体に特別な異常が見つからないのに血圧が高くなる本態性高血圧に分けられます。高血圧と診断された人の大半は本態性高血圧です。

本態性高血圧の場合、原因は特定できないものの、加齢による血管の老化、塩分のとり過ぎ、肥満、ストレス、喫煙、運動不足、不眠などの生活習慣や、体質(遺伝)などいくつかの要因がからみ合って起こると考えられています。

加齢や体質(遺伝)は自分の力ではどうしようもありませんが、他の要因は自分の努力次第で減らすことができます。

早めに生活習慣を改善し、血圧を少しでも下げることが大切です。

1日1gの減塩から始めよう

高血圧のさまざまな要因の中でも、最も問題となる生活習慣は塩分のとり過ぎです。

塩分は生体の維持に欠かせませんが、とり過ぎると血圧中のナトリウム濃度が高くなり、これを薄めるために血液中の水分が増え、血圧が高くなります。また、交感神経の働きが活発になり、心拍数が上がって血液の量が増えたり、血管が収縮して血液が流れにくくなることも血圧上昇を促進させます。

通常、一時的に血圧が上がっても、腎臓から余分なナトリウムや水分は尿として排泄され血圧は元に戻ります。しかし、毎食時に塩分を過剰にとっていると排泄が追いつかなくなり、血液中のナトリウム濃度は高い状態が続き高血圧となってしまいます。

日本人の塩分(食塩)摂取量は健康への関心の高まりとともに減少傾向にありますが、世界的にみると依然高い状態が続いています。例えばヨーロッパやアメリカでは、1日当たりの塩分摂取量は8~10gであるのに対し、日本では男性が平均11.4g、女性が9.6g、男女の平均が10.4g(厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査」)となっています。

一方、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(2010年版)では、男性は1日9g未満、女性は1日7.5g未満になっています。また、がん予防においても同じように、男性は1日9g未満、女性は1日7.5g未満にすることが勧められています。日本高血圧学会はこれらよりももっと低く、1日6g未満を推奨しています。

いずれにせよ、いっそうの減塩に努めなければなりませんが、長年、濃い味付けに親しんできた人が急に何gも減塩すると、食事が味気なく感じられるなどの理由から、なかなか長続きしません。まずは1日1gの減塩に努めることから始めるとよいでしょう。

図/食塩摂取量(1日)の平均値の年次推移(20歳以上)(平成15年~23年)

図/食塩摂取量(1日)の平均値の年次推移(20歳以上)(平成15年~23年)

厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査」

塩分がどのくらい含まれているかを知ろう

減塩に成功するためには、自分がよく口にする料理や食品、調味料の塩分量を知っておきたいものです。

塩分表

塩分表

栄養表示の塩分量に注意

加工食品などの成分表示に「ナトリウム」と記載されているのを見て、その数値が塩分量と捉えている人も少なくないようです。ナトリウム量はそのまま塩分量ではないので、注意しましょう。塩分量は次の式で算出します。

ナトリウム量(g)×2.54=塩分量(g)

加工食品には意外に塩分量が多いものがあるので、購入する前に確認するとよいでしょう。

減塩の工夫のポイントはコレ

以下に、減塩の工夫のポイントを挙げます。

  • うどん、そば、ラーメンなどの汁ものは、できるだけ汁を残す。
  • しょうゆやソースなどは、料理に直接かけずに、小皿に必要なだけをとり、つけて食べる。
  • みそ汁やすまし汁は、具だくさんにしてかさを増し、汁の量を少なくする。
  • 練り製品や加工肉、魚の干物、漬物、つくだ煮、梅干しなどは塩分が多いので控えめに。
  • 煮物などは、調味料を入れてから煮込むと塩分がしみこむので、火を止める直前に調味料を入れる。
  • 香辛料、香草類、酢、かんきつ類などで風味と味にアクセントをつける。

塩分を排泄する栄養素があるってホント!?

栄養素の中には血圧を下げる働きをするものがあります。その代表がカリウムです。体内に塩分(ナトリウム)が過剰にあると、カリウムは余分なナトリウムを排泄して血圧を下げることから“自然の高血薬”と呼ばれています。また、血圧を上昇させる物質の分泌や働きを抑制し、高血圧を予防する効果もあります。

カリウムは、野菜、果物、海草、豆類などに多く含まれますが、水に溶けやすく熱にも弱いので、果物からとるとよいでしょう。ただし、カリウムのとり過ぎが問題となる病気をお持ちの方もいます。例えば腎臓病の人はカリウムを多くとり過ぎると、高カリウム血症の原因になるので、注意してください。

そのほか、干しえびや干しひじきなどに多く含まれるカルシウムや、納豆やいんげん豆などに多いマグネシウムも、血圧を安定させる働きがあることが知られています。

減塩とともに、こうした栄養素を含む食品を意識してとるとよいでしょう。

まだまだある、改善したい生活習慣

肥満の人は体重を減らしましょう

肥満があると、交感神経が活発になります。それにより、血管を収縮させるホルモンの分泌量が増え、血圧が高くなります。また、腎臓から排出される塩分の量も少なくなるため、肥満の人は血圧が上がりやすくなります。

●運動の降圧効果は見逃せません

運動も血圧を下げるのに効果的です。

運動をして心拍数が上がると、利尿作用のある物質が分泌され、それにより余分な塩分と水分が尿として排泄されます。また、運動で血液の循環がよくなると、血管の細胞から血管を拡げる作用をもつ物質が分泌されます。

高血圧の改善には、ウオーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を1日30分以上行うのが有効とされています。毎日行うことが難しい場合は、1回の運動量を少し多めにして、週に3回くらいでも構いません。また、1日に15分の運動を2回、10分を3回など、分けて行ってもよいです。

なお、血圧が非常に高い人、心臓が悪い人などは、事前に医師に相談してください。

●タバコとお酒は要注意です

タバコの煙に含まれるニコチンは、副腎を刺激して、血圧を上げるホルモンを分泌します。交感神経の働きも活発になり、血管が収縮して血圧が上がります。

5年以上禁煙すれば、脳卒中を発症するリスクは、タバコを吸わない人と同じ程度に下がるといわれています。禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。今すぐに禁煙しましょう。

自分一人では禁煙に成功しない人は、禁煙外来を設けている医療機関に相談するとよいでしょう。禁煙治療は、医師が必要と認めた場合、保険の適用となります。

「百薬の長」といわれるお酒も、飲み過ぎると血圧を上昇させます。日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン 2009」では、エタノール換算で、1日の適切な飲酒量は、男性が20~30ml以下、女性は10~20ml以下とされています。なお、エタノール20mlは、日本酒だと1合弱、ビールなら中ビン1本強、焼酎(35度)0.5合弱、ウイスキー・ブランデーならダブル1杯に相当します。

●急激な温度の変化をなくそう

冬の時期、暖かい居間から寒いトイレに移動したり、寒い脱衣所からいきなり熱い湯船に入ったりすると、血圧は急上昇し、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなります。

トイレや脱衣所にストーブを置いたり、前もってお風呂の蓋をとって浴室の温度を上げるなどの工夫をしましょう。お湯の温度も38~40℃くらいの少しぬるめにするとよいでしょう。

生活改善をしても血圧が下がらないときは…

高血圧と診断され、生活習慣を改善しつづけたけれども血圧が下がらない場合や、心血管病のリスクが高い場合は、薬剤による治療が行われます。

降圧薬は一生服薬し続けるのが基本ですが、血圧が改善された状態が続けば、服薬を一時的に止めたり、薬の量を減らしたり、ケースによってはそのままずっと止めることも可能です。ただし、自己判断で服薬するのを止めたりしてはいけません。必ず医師の指示に従いましょう。

協力:オーエムツー(荻 和子)