健康コラム ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!

その痛み、あきらめない。タイプ別「頭痛」の対応術!

頭がズキンズキン、ガンガンするけれど「体質だから」「いつものことだから」などと我慢したり諦めたりしていませんか。実は、頭痛とひと言でいっても、さまざまなタイプがあります。タイプによっては、命に関わったり、同じ治療が逆効果になったりすることも。また、薬を使いすぎると、余計に悪くなる場合もあります。頭痛についてぜひ知っておきたい情報をまとめました。これを参考に、タイプごとにきちんと対応し、改善に努めましょう。
コラムINDEX
4,000万人が悩まされる頭痛…。
あなたは「一次性頭痛」?「二次性頭痛」?
こめかみ辺りがズキンズキン、それって「片頭痛」かも!
筋肉の緊張がもたらす「緊張型頭痛」
集中して起こる激しい頭痛は「群発頭痛」
頭痛は治る時代に。我慢をせずに受診しよう

4,000万人が悩まされる頭痛…。あなたは「一次性頭痛」?「二次性頭痛」?

日本では、およそ4,000万人が何らかの頭痛に悩まされているといわれています。国民病と呼ばれる糖尿病の患者数は、予備軍も含めると2,050万人と推定されているので(平成24年国民健康・栄養調査)、それと比較すると、いかに頭痛に悩まされている人が多いかがわかります。しかし、頭痛を感じても、「たかが頭痛。これぐらいで受診はできない」などと思っている人も多いのではないでしょうか。ところが、頭痛が繰り返し起こったり、寝込むほどの重い頭痛になると、もはや「たかが頭痛」ではすまされなくなります。

そもそも頭痛とは何でしょうか。頭痛とは、頭部の一部あるいは全体の痛みの総称で、後頭部と首(後頸部)の境界や目の奥の痛みも頭痛に含まれます。

頭痛にはたくさんの種類があり、原因や症状はさまざまですが、「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に大別できます。

一次性頭痛は、頭部CTスキャンなどの検査を行っても異常はないけれど、繰り返して起こる、いわゆる慢性頭痛のこと。このタイプは命そのものに関わることはあまりありません。

二次性頭痛は、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎などの病気が原因となって起こる頭痛で、原因疾患によっては生命にも危険が及びます。これまでに経験したことのないような激しい頭痛に突然襲われたり、物が二重に見えたり手足が麻痺するといった症状を伴ったりする場合は、二次性頭痛を疑って早期に受診することが大切です。

こめかみ辺りがズキンズキン、それって「片頭痛」かも!

■痛み発作の前に、前兆が現れることもある「片頭痛」

「頭痛もち」という言葉があります。ここでいう頭痛は一次性頭痛のことです。

一次性頭痛で20~40歳代の女性に多くみられるのが「片頭痛」です。片頭痛は、こめかみから目の辺りが、ズキンズキン、ドクンドクンと脈打つように痛むのが特徴です。という字がついているせいか、頭部の片側にしか痛みが生じないという印象がありますが、人によっては両側が痛むこともあります。

痛みの発作は1カ月に1~2回程度が一般的ですが、時には1週間に1~2回起こることもあります。ひとたび発作が始まると4時間ほど、長い場合には2~3日痛みが続きます。頭痛の最中に、体を動かすなど頭の位置を変えると痛みが強くなります。また、光や音に敏感になり、騒々しい場所やまぶしい場所では痛みがひどくなることも。吐き気やおう吐を伴うケースもあります。

片頭痛の人の6~8割ほどに、発作が起きる前に、肩こり、イライラ、生あくび、空腹といった前触れ症状がみられます。1~2割の人には、目の前がチカチカしたり、ギザギザするものが見えたりする「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる前兆が現れます。

片頭痛の発作が起こる前に、閃輝暗点が現れることも。ギザギザする光が見え、光の向こうの文字や景色が見えなくなります。

■脳の血管と三叉神経(さんさしんけい)が片頭痛発症に関係!?

片頭痛がなぜ起こるのか、原因は完全に明らかになってはいませんが、脳の血管と三叉神経(さんさしんけい)が関係していると考えられています。

私たちの脳は、「セロトニン」という神経物質の作用により血管の収縮・拡張を繰り返すことで、血管内を流れる血液量を一定に保っています。しかし、何らかのきっかけでセロトニンが大量に分泌されると、脳の血管は一気に縮んで血流が悪くなります。やがてセロトニンが出つくすと、その反動で縮んでいた脳血管が急激に拡がります。すると、脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経が刺激を受け、三叉神経から痛みの原因物質が放出され、強い痛みが生じるのではないかと考えられています。

■片頭痛に効果的な薬物療法

片頭痛の治療の基本は薬物療法です。最近よく用いられているのが血管と三叉神経の両方に作用するトリプタン製剤です。錠剤、注射薬、点鼻薬の3種類の剤形があります。

トリプタン製剤は血管の収縮作用が強いため、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などのある人は使用できません。その場合は、消炎剤や予防薬などを使って対処します。

予防薬は基本的には、頭痛の起こる日数が多かったり、1回の発作が重症で寝込んでしまうといった場合に使用するもので、抗てんかん薬やカルシウム拮抗薬、β遮断薬などがあります。予防薬を一定期間毎日服用することで、頭痛の発作を減らしたり、痛みを軽くしたりすることができます。

自分でできる痛み軽減策もあります。片頭痛が起こったら、暗くて静かな場所で横になりましょう。こめかみなど痛むところを冷却用シートなどで冷やすのも良い方法です。逆に避けたいのは、入浴、マッサージ、運動など。これらの行為は血行を促し、拡がった血管をさらに拡げてしまいます。

■片頭痛を起こしにくい日常生活の工夫を

片頭痛が起こるきっかけをつくらないようにすることも大切です。

セロトニンは過度のストレスを感じると大量に分泌されます。実際、就職・結婚・転居など環境が変わったりしてストレスを感じたときに片頭痛を起こす人が多いようです。睡眠を十分にとり、ストレスをためないようにしましょう。

生活のリズムの乱れも頭痛発作の誘因となります。欧米では、片頭痛を「休日型頭痛」と呼ぶそうです。多分、平日と休日の生活リズムの落差が大きいからではないでしょうか。休日も平日同様に、規則正しく過ごしましょう。

強い匂いや光、音などは発作の引き金となるだけでなく、発作が起きている最中に痛みを悪化させる要因にもなります。片頭痛の人は、室内に香りの強い物を置かない、強い日差しの日はサングラスをかけるといった工夫をするとよいでしょう。

人によっては、チョコレートやワインを多くとると片頭痛が起こることがあります。これらに含まれるチラミン、ポリフェノールといった物質が血管を拡張させるため、と考えられています。

筋肉の緊張がもたらす「緊張型頭痛」

朝から頭痛がしていて、仕事が終わるころに痛みがひどくなることが多いという方は、緊張型頭痛の可能性が大。緊張型頭痛は一次性頭痛の7~8割を占めるといわれます。片頭痛とは全く異なるタイプの頭痛です。

■緊張型頭痛の改善はストレッチから

一次性頭痛で最も多いのが緊張型頭痛です。後頭部から首筋を中心とした頭全体が、ギューと締めつけられるように痛みます。ただし、痛みの程度はそれほど強くはありません。

痛みは、朝から晩までだらだらと続きますが、仕事が終わる夕方ころに痛みが強くなる傾向がみられます。首や肩のひどいこり、目の疲れ、めまいなどを伴うこともあります。

緊張型頭痛の原因として、首から肩、背中にかけての筋肉(僧帽筋・後頭筋)や頭の筋肉(側頭筋)の過度な緊張が挙げられます。筋肉の緊張が高まると筋肉が収縮して血流が悪くなり、乳酸やピルビン酸といった老廃物がたまりやすくなります。それらが周りの神経を刺激して、痛みが生じると考えられています。

夕方に痛みが強くなるのは、朝からの筋肉の緊張がたまってくるから。パソコン操作や車の運転などで長時間同じ姿勢をし続けていると、痛みが増強しやすくなります。また、身体的なストレスだけでなく、精神的なストレス、不安やうつなども痛みの誘因となります。

緊張型頭痛は、片頭痛と違って、頭を動かしても痛みは強くなりません。むしろ、首や肩のストレッチを行うと、筋肉の緊張がやわらぎ、痛みが軽減されます。また、蒸しタオルなどで肩や首を温めるのもおススメです。

ストレッチなどで改善がみられないときは薬物療法が行われることがあります。筋肉の緊張をゆるめる筋弛緩薬や痛みを抑える鎮痛薬、精神的ストレスが大きい場合には自律神経を整える抗うつ薬や抗不安薬が用いられます。

イスに座ってできる緊張型頭痛の軽減ストレッチ

1 両肩をゆっくり上げて、ストンと落とす。 2 首を大きくゆっくり回す。次は反対側に回す。 3 膝の上で両手を組み、そのまま両手を頭の上に。肩を後ろへ引いて、背筋を伸ばす。 4 片方の腕を横から振り上げ、脇を伸ばすようにして上半身全体を曲げる。腕を元に戻したら反対側の腕で同様に。

■長時間、同じ姿勢を保つのは避けよう

運動不足の人、姿勢が悪い人、体が冷えやすい人、なで肩の人などは緊張型頭痛になりやすいので注意しましょう。正しい姿勢を保つ、同じ姿勢をとり続けない、適度な運動をする、体を冷やさないといったことを心がけましょう。デスクワークや運転などを長時間行うときは、時々休憩し、体を動かすようにしましょう。

■片頭痛と緊張型頭痛を併発しているケースも

複数の慢性頭痛を併発している人が少なくありません。特に多いのが片頭痛と緊張型頭痛の組み合わせです。

頭痛の起こり方は人によってさまざまです。例えば、片頭痛と緊張型頭痛が一定の間隔で起こるタイプ、常に緊張型頭痛があり、そこに時々片頭痛が現れるタイプ、ある期間だけ緊張型頭痛が起こり、その期間中に片頭痛が起こるタイプなど。

市販の鎮痛薬に頼り過ぎると、「薬剤乱用頭痛」になる危険があることも……(ミニコラム参照)。頭痛の専門医を受診することをお勧めします。

頭痛薬の長期使用にご注意!「薬物乱用頭痛」とは?

「頭痛のたびに、鎮痛薬を使用する」という人は、以前に比べ、だんだん飲む量が増えていませんか。もしそうだとしたら、「薬物乱用頭痛」になっているかもしれません。

鎮痛薬を頻繁に飲んでいると、脳が痛みに対して敏感になり、普通なら感じないような痛みまで感じるようになります。鎮痛薬を服用すれば一時的には痛みは消えますが、薬効が切れるとまた痛み出し、すぐに鎮痛薬を飲んでしまう…。いつの間にか、連日、頭痛が生じ、朝昼晩、鎮痛薬のお世話に。これが薬物乱用頭痛といわれるもので、片頭痛でも緊張型頭痛でも起こります。

薬物乱用頭痛は処方薬でも市販薬でも起こりますが、簡単に入手できる市販薬の使い過ぎで発症する人のほうが多くみられます。

薬物乱用頭痛にならないためには、処方薬、市販薬いずれも、鎮痛薬の服用を月10回までにとどめること。市販の鎮痛薬は、なるべく単一成分で、無水カフェイン(依存性を高めるといわれている)を含まないものを選びましょう。また、購入時には、薬剤師によく相談しましょう。

集中して起こる激しい頭痛は「群発頭痛」

一次性頭痛の一つに群発頭痛があります。ある一定期間に、しきりに起こる頭痛です。圧倒的に男性に多くみられ、特に20~40歳代の働き盛りの男性に発症しやすいといわれています。

■火ばしで目の奥がえぐられるような激痛が

群発頭痛は、「火ばしでえぐられるよう」としばしば表現されるように、片側の目の奥が激しく痛むのが特徴です。

起きる頻度は一般に、1年に1~2回ほど。しかし、いったん痛みが始まると、それから1~2カ月はほぼ毎日15分~3時間程度続きます。時には、あまりの痛さにのたうち回ったり、壁に頭を打ち付けるといった行動をとることも。目が充血したり、涙が出たり、鼻水や鼻づまりなどの症状を伴うこともあります。

群発頭痛は、発作の時期や時間帯が人によってだいたい決まっています。毎年、春先や秋口などの季節の変わり目に痛む人が多いようです。時間帯では、床について1~2時間経ったころや明け方に起こりやすい傾向があります。

■体内時計の乱れが原因?

群発頭痛の原因は詳しくはわかっていませんが、脳の視床下部にある体内時計が関わっているのではないかと推測されています。

睡眠と覚醒、活動と休息のリズムをコントロールしている体内時計が何らかの理由で乱れると、目の奥にある血管が拡張して激しい痛みが生じる、と考えられています。

■季節の変わり目は要注意。節度ある生活を

群発頭痛には、酸素吸入が効果を示します。純酸素を10~15分間吸入するとよいとされています。また、片頭痛の治療にも使われるトリプタン製剤の皮下注射が、即効性があります。予防薬として、カルシウム拮抗薬やステロイド剤が用いられることもあります。

季節の変わり目は群発頭痛が起きやすいので、この時期は特に規則正しい節度を保った生活を心がけましょう。疲れをためたりすると群発頭痛を発症しやすくなります。日ごろから適度な運動などで体力維持に努めましょう。

群発頭痛の人でタバコを吸っている人はぜひ禁煙を。タバコの煙が鼻の奥の神経が集中している場所を刺激し、頭痛発作が起きやすくなったり、痛みを増強したりします。片頭痛同様に、血管を拡張させる物質を含む食品の摂取も控えたほうがよいでしょう。

頭痛は治る時代に。我慢をせずに受診しよう

かつて慢性頭痛は治らないといわれていました。しかし、今は効果の高い薬が開発されています。

自分の頭痛は緊張型頭痛と思い込み、痛いところを温めたり肩をマッサージしていたら、実は片頭痛で、むしろそうした対応は避けなければいけなかった、ということもあり得ます。

また、慢性頭痛を長年放置していると、加齢とともに片頭痛は起こりにくくなり、代わりに慢性的な頭重感やめまい、耳鳴り、イライラなどの症状が出てくることがあります。これを「脳過敏性症候群」といい、今、注目を集めている新型頭痛です。

脳過敏性症候群にならないためにも、自分の頭痛が何なのかを知るためにも、慢性頭痛で悩んでいる人は、一度、神経内科や脳神経外科、頭痛外来などを受診することをお勧めします。

頭痛ダイアリーをつけよう

いつ、どのような痛みがどれくらい続いたかなどを記録しておき、医療機関を受診する際に医師に提示しましょう。診断に大いに役立ちます。

記録は、普通の手帳でも構いません。医療機関によっては、頭痛ダイアリーを提供してくれるところもあります。また、日本頭痛学会のホームページから書式をダウンロードすることもできます。なお、このホームページには、全国の認定頭痛専門医一覧も掲載されています。

日本頭痛学会のホームページ
※別ウィンドウが開きます

協力:オーエムツー(荻 和子)