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ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!健康コラム

知って安心!「抗がん剤治療」最新情報

化学療法は手術や放射線治療と並ぶがん治療の重要な柱の一つです。その化学療法の中心的存在が抗がん剤で、当社のがん罹患者アンケート調査(2013年8月実施)では54.6%の方が抗がん剤治療を経験していると回答しています。抗がん剤のみの治療が行われることもありますが、最近では手術や放射線治療の前後に抗がん剤治療が用いられるなど、抗がん剤治療は以前にも増して使われる機会が増えています。抗がん剤治療について、近年開発が進んでいる分子標的薬も含めて知っておきたい情報をお届けします。

コラムINDEX

栄養血管から薬剤を投与する方法も

新タイプの薬剤が導入

副作用を予防したり軽減する支持療法

複数の抗がん剤を組み合わせて効果を高める多剤併用療法

術前や術後に抗がん剤治療をプラスすることも

特定の分子を狙い撃ちする分子標的薬

抗がん剤治療を受ける際の注意点

栄養血管から薬剤を投与する方法も

抗がん剤は、点滴、注射、あるいは飲み薬として体内に入り、血液中を流れて全身を巡り、がん細胞を攻撃します。その性質を利用して、すでに転移したがん、転移の可能性のあるがん、周囲に大きく浸潤していて手術ができないがん、全身に散らばったがん、白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんなどの治療に用いられます。

最近では、がん組織に栄養を送り込んでいる動脈から直接、高濃度の抗がん剤を注入する動注化学療法も盛んに行われています。たとえば肝動注化学療法では、足の付け根にある動脈あるいは腕の動脈からカテーテルという細いチューブを入れ、肝動脈まで通します。造影剤を使ってがんに栄養を与えている肝動脈(栄養血管)を見つけ、カテーテルを留置したうえで、抗がん剤を注入します。
このように単に動脈ではなくがんの栄養血管に抗がん剤を注入する方法を超選択的動注化学療法といいます。

新タイプの薬剤が導入

抗がん剤は、がん細胞を攻撃して死滅させる目的の化学物質であることから、抗がん剤治療は化学療法ともいわれます。近年、化学療法には、従来の抗がん剤のほかに、がん細胞の中のある一定の分子を標的として作用し破壊する分子標的薬という新タイプの薬剤が導入されました。また、がんの増殖に関わる体内のホルモンを調節してがん細胞の増殖を抑えるホルモン剤もあります。

副作用を予防したり軽減する支持療法

抗がん剤の多くは、正常細胞に比べて増殖のサイクルが早く、無制限に増える傾向があるがん細胞に致命的な障害を及ぼすように作られています。ところが、正常細胞の中にも増殖のサイクルが早いものがあり、それらはがん細胞と同様に抗がん剤の作用を受けやすくなります。その代表が、血液をつくる骨髄の造血細胞、口腔粘膜、消化管粘膜、毛根細胞などです。造血細胞が破壊されると、赤血球や白血球、血小板などが減少して、貧血や出血、感染症などが起こりやすくなります。口腔粘膜が損傷を受ければ口内炎、消化管粘膜なら吐き気や下痢、毛根細胞なら脱毛といった症状が副作用として現れます。
抗がん剤の多くは、どのような副作用がいつ頃起きるかだいたい予測がつくようになっています。そこで抗がん剤を投与する前に、副作用を予防したり軽減するための「支持療法」が行われます。吐き気に対しては制吐剤、下痢に対しては止痢薬や整腸剤などが用いられます。ただし、すべての副作用がコントロールできるわけではありません。たとえば、脱毛を防ぐ薬剤はまだ開発されておらず、再び髪が生えてくるまで帽子やかつらなどで対応することになります。

図表/抗がん剤の代表的な副作用と現れる時期の目安
図表/抗がん剤の代表的な副作用と現れる時期の目安

複数の抗がん剤を組み合わせて効果を高める多剤併用療法

あるがんに対して効く抗がん剤は1種類であることはまれで、複数である場合がほとんどです。このような場合、より高い治療効果を得るために、数種類の薬を組み合わせて投与する「多剤併用療法」が行われます。これには、一つの副作用が強く出ることを抑えるという狙いもあります。
抗がん剤治療では多くの場合、1日または何日か投与したのちに、しばらく休薬期間をおき、再び投与するパターンを繰り返します。投与期間と休薬期間を合わせた期間を「クール」または「コース」といいます。休薬期間を設けるのは、薬によってダメージを受けた正常細胞を回復させるためです。何クール行うかは、患者さんの体力やがんの縮小効果を見ながら決められます。
近年、支持療法が進歩してきたことから、1クール目だけ入院して、2クール目以降は外来で抗がん剤治療を行うケースや、初めから外来で抗がん剤治療を行うケースが増えています。

図表/抗がん剤併用療法のスケジュール例
図表/抗がん剤併用療法のスケジュール例

(抗がん剤名)
TS-1:がん細胞のDNAの合成を妨害して増殖を防ぎ、がん細胞を死滅させます。胃がん、結腸・直腸がん、肺がん、頭頸部がん、手術不能または再発乳がん、膵がん、胆道がんの治療に使われます。
カルボプラチン:がん細胞のDNAと結合することで複製を邪魔し、がん細胞の分裂を止め、やがて死滅させます。卵巣がん、子宮頸がん、肺がん、悪性リンパ腫、乳がん、精巣腫瘍の治療に使われます。

術前や術後に抗がん剤治療をプラスすることも

手術で、目に見えるがん腫瘍をすべて取り除いたとしても、目に見えないがん腫瘍が残っている可能性があります。そのがん腫瘍からの再発予防のために、手術後に抗がん剤を投与する方法が「アジュバント(術後補助)化学療法」です。胃がんや大腸がんなど多くのがんで用いられています。逆にがんが周囲の組織に広がり手術で取り除きにくい場合には、前もって抗がん剤でがんを手術が可能な大きさにまで小さくする「ネオアジュバント(術前補助)化学療法」が行われることがあり、特に乳がんで成果をあげています。
また、食道がんや子宮頸がんでは、放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせる「放射線化学療法」が成果をあげています。

特定の分子を狙い撃ちする分子標的薬

抗がん剤の多くは、がん細胞の増殖を防ぐことで最終的に細胞を死滅させます。それに対して、近年開発が著しい分子標的薬は、がん細胞に特異的に多くなる遺伝子やたんぱく質の分子を標的として、その働きを邪魔することでがん細胞の増殖を防いだり、死滅させます。
従来の抗がん剤は、がん細胞が無制限に増殖するのを抑えることのできる物質を探し出し、開発されました。それに対して、近年開発が著しい分子標的薬は、がん研究が進む過程で解明されたさまざまなメカニズムをもとに開発されました。その大きな特徴は、ゲノム・分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞の増殖や転移を行う特定の分子だけを狙い撃ちにすることです。そのため、従来の抗がん剤に比べると吐き気・嘔吐、脱毛、白血球減少などの副作用はそれほど多くありません。これも分子標的薬の大きな特徴といえます。しかし、薬の種類によっては発疹、だるさ、口内炎などが現れたり、頻度は少ないものの、間質性肺炎や心不全などの重症な副作用を起こすケースもあります。

抗がん剤治療を受ける際の注意点

抗がん剤治療を受ける際には、どんな薬を何の目的で使い、投与期間はどのくらいかなどを医師に確認しましょう。副作用についても、どのような症状がいつ頃現れる可能性があり、それに対してどのような対処法があるかなどを聞いておきましょう。抗がん剤治療が始まったら体調に気をつけ、異常を感じたらすぐに医師や看護師に相談しましょう。

抗がん剤治療の副作用は、以前に比べれば医療の進歩によって軽減されるようになったとはいえ、まったく現れないわけではなく、体への負担は少なくありません。また、抗がん剤治療も含め、がん治療は長引く可能性があります。
がんにならないためにも、健康的な生活を送るとともに、定期的にがん検診を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。

協力:オーエムツー(荻 和子)

(2015年6月 作成)