マネーコラム ファイナンシャルプランナーによる、これだけは知っておきたい「おかねのはなし」

消費税以外も変わる!?知っておきたい2015年「介護保険」改正

“いざ介護”となったとき、まず頼りにするのは公的な保障ですね。
ところが、4月の消費税アップの影響で「介護保険」についても、今年から来年にかけて負担増になることが明らかに…。また1割負担だった70歳以上の「健康保険」の自己負担額も2割負担にアップしており、老後の公的保障の自己負担は確実に重くなっています。
今回は、私たちの将来の暮らしを守るためにぜひ知っておきたい、今後の「介護保険」の改正動向と、自助努力のポイントについてお伝えします。
竹下 さくら さん CFP(R)/一級ファイナンシャル・プランニング技能士
コラムINDEX
4月消費税アップに伴い、介護保険料も上がる?
介護保険サービスの利用料も4月からアップ
「介護保険」の利用者負担が2割負担になる人も
安心して老後を迎えるための自助努力のポイント

4月消費税アップに伴い、介護保険料も上がる?

この4月から消費税率が5%から8%に引き上げられましたが、その影響を受けて、介護保険料も引き上げの方向に向かっています。

対応は加入する各健康保険組合によって異なりますが、中小企業のための政府管掌健康保険である「協会けんぽ」(全国健康保険協会)では、介護保険料率が3月分(4月納付分)から1.55%→1.72%に引き上げられました。

1人あたりの年間介護保険料(労使折半)は平均で6万2,754円→6万9,636円と、6,882円アップです。ここ数年の介護保険料の推移を見てみると、わずか5年のうちに1.19%→1.72%と、0.53%もアップしたことがわかります(図表1)。

図表1/介護保険料率の推移 (協会けんぽの一般被保険者の例)

図表1/介護保険料率の推移(協会けんぽの一般被保険者の例)

介護保険料率は年度毎見直しを行うことになっていますが、仮に、今年度の引き上げを行わなかったとすると、協会けんぽの負担額に700億円を超える赤字が見込まれていたとのこと。2015年10月には、消費税率の10%への引き上げが予定されている中、併せて、介護保険料の引き上げが続くと、家計への影響が心配ですね。

介護保険サービスの利用料も4月からアップ

消費税率の増加と同時に、介護保険料が引き上げられた理由は、介護保険に必要なコストがアップしたからです。介護保険の事業者が介護保険サービスを提供するために必要な物品や燃料などを購入するときには消費税がかかるため、消費税率が8%に引き上げられると、同じサービスを提供するにしても事業者の実質的な負担がこれまでより大きくなってしまいます。

この状態が続くと、事業者による安定したサービス提供が難しくなる可能性もあるため、この4月から、介護保険サービスの介護報酬が0.63%引き上げられました。介護報酬というのは、介護保険サービスの値段のようなもので、4月1日以降に利用した分から、介護保険サービスを使った際の利用料が少し上がりました。

たとえば、自宅で介護をしていて、介護保険サービスの「訪問介護」を利用し、ヘルパーに生活援助してもらうケースでは、「20分以上45分未満」の利用者負担額190円が191円にアップします(利用者負担1割の例)。

わずか1円と思うかもしれませんが、介護保険には要介護度に応じた利用限度額が設けられていますので、単純に考えれば、利用できるメニューにも影響が出かねません。そこで、在宅サービスの利用限度額も引き上げられました(図表2)。

図表2/在宅サービスの利用限度額

図表2/在宅サービスの利用限度額

介護報酬のうち、利用者負担以外の部分は、介護保険(介護保険料と公費)でまかなわれています。消費税率アップによって膨らんだ介護報酬への影響は、介護保険サービスの利用者負担と介護保険料の負担増という形で出てきたわけなのです。

「介護保険」の利用者負担が2割負担になる人も

さらに、介護保険の財源が困窮しているという根本的な問題解決の一策として、実際に介護保険サービスを使った際の利用者負担の引き上げも予定されています。2000年に制度を開始して以来ずっと一律1割だった利用者負担の割合を、2015年度から、一定収入以上の人は2割負担にする方向で、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で検討されています。その対象者を年金収入で「280万円以上」にするか「290万円以上」にするかといった具体的な線引きについて、2013年12月20日時点で、話し合いが行われているところです。

考えてみれば、「健康保険」の自己負担額は、年齢や所得に応じて1割・2割・3割といったバリエーションがありますね。同様に、「介護保険」でも、負担能力のある人については利用者負担を引き上げるというわけです。

このほか、2015年度から、要支援1・2といった軽度の人については、訪問介護・通所介護が介護保険の対象から除外される方向で検討が進んでいます。

また、現在は40歳以上の人が納めている介護保険料を、もっと若い年齢の人からも徴収するといった案も出ています。

安心して老後を迎えるための自助努力のポイント

現段階でもかなり困窮している介護保険の財源ですが、団塊の世代が75歳を迎えると今後ますます苦しくなることが容易に想像できます。そのための対策の基本は、収入(介護保険料などの歳入)を増やして支出(介護保険サービスの提供などの歳出)を減らすことです。

今後、介護保険を利用できる範囲が変更される可能性があり、利用料の負担が増えるため、自助努力として「貯蓄」でしっかり備えておくことが大切になるはずです。ところが、介護保険料などの負担が増えていく中で、手取りが減って家計の余裕がなくなると、貯蓄はなかなか増えにくい状況に。

ただでさえ、公的年金だけでは不安な老後資金のために、積立貯蓄や運用で増やしたりといった中、介護資金用に老後資金とは別枠で「貯蓄」を用意するのは簡単なことではありません。そのため、想定外に要介護状態になると、老後資金から取り崩すことになり、経済的にも精神的にも苦しくなるご家庭は少なくないと思われます。

そこで、視野に入れておきたいのが民間の「保険」の活用です。「保険」は、「貯蓄」だけでは対応できない高額なお金が必要となる際に、活用するのが有効です。万一の死亡時に家族が困らないように加入する生命保険などと同様、まさかの要介護状態に備える介護保険も取り扱っている保険会社があります。

その商品性は保険会社によって様々ですが、保険会社所定の要介護状態になった際に、年金や一時金を受け取れるものが一般的です。死亡保障と介護保障を兼ねたプランを用意している保険会社もあります。将来の介護に不安があるご家庭は、検討してみてもよいでしょう。