マネーコラム ファイナンシャルプランナーが教える、わかる!「おかねのはなし」

ライフプランに応じた保険の見直し

保険は、加入したら折をみて「見直し」をすることが大切です。保険料負担が大きいと感じたときはもちろんのこと、ライフプランの変化に応じた見直しをしておくと、合理的な保険料で必要な保障を効率よく確保することができます。洋服に例えて言えば、子どもの成長に合わせて丈入れ・裾出ししたり、買い替えたりするようなもの。保険も、その時々の状況に合わせてメンテナンスし、必要な保障をしっかり確保しながら保険料の節約を目指したいところです。今回は、前向きに保険を見直すためのライフプラン上の5つのタイミングを紹介します。 
竹下 さくら さん CFP(R)/一級ファイナンシャル・プランニング技能士
コラムINDEX
結婚したとき
子どもが増えたとき・子どもの進路が変わったとき
住宅ローンを借りてマイホームを購入したとき
子どもが独立したとき
家族を扶養するとき

結婚したとき

結婚したら、独身のときとは家計のやりくりが変わり、家族も増えるため、夫婦ともに保険の見直しが必要です。

それまで入っていた保険があるなら、まずは保険金受取人を、親から配偶者に変更する手続きを早めに済ませておきましょう。

また、最優先で見直しておきたいのは、世帯主の死亡保険の増額です。夫が世帯主の例で考えると、妻が妊娠した後で夫が亡くなると母子家庭になり、妻は女手一つで子どもを育てる上で様々な困難に直面することになります。

経済面で言えば、育児の関係上、子どもを長時間預けられず早めに仕事を切り上げるケースがあるため、独身のときのようにフルタイムで働きにくく、子どもを養うための十分な収入の確保は難しくなります。そのため、夫の死亡保険について、生活費や子どもの教育費も加味した額に増額しておくことで、世帯主に万一のことがあった際に家族が路頭に迷うリスクを減らしておく必要があるのです。

さて、続いて検討しておきたいのは、妻の医療保険です。結婚した時点でまだ加入していないのであれば、結婚後なるべく早めの加入がおすすめです。なぜなら、切迫流産や切迫早産、帝王切開などで、女性が入院・手術する機会が出産前後に特に多くなるからです。

その上、女性が医療保険に申込む場合は、申込書と併せて提出する告知書の中で「現在、妊娠していますか」という質問項目が設けられており、「はい」と回答すると、妊娠・分娩に関して一定期間もしくは一生、保障の対象外となってしまうことは意外と知られていません。

年齢が同じであれば月払保険料は妊娠前でも妊娠・出産後でも同じなのですが、妊娠中や妊娠・出産直後の加入では保障が削られてしまうケースもあるため、もったいない入り方ということに。医療保険に未加入の女性が加入するなら、妊娠前が鉄則です。

また、夫の医療保険も前向きに検討しておきたいところです。なぜなら、これから着実に貯蓄を築いていくことがとても大切な時期のため、想定外な出費で貯蓄の取り崩しは避けたいからです。

これらの保障をまず確保してから、その他の保障を検討するとよいでしょう。

子どもが増えたとき・子どもの進路が変わったとき

子どもが増えたら、世帯主の死亡保険の額はさらに手厚くしておきましょう。必要保障額(死亡保険で備えておくべき額)は、保険に入る人が死亡後に必要となる「支出」の総額から、以後に入ってくる「収入」の総額を差し引きして算出します。

図表/必要保障額の算出例(独立前の子どもがいる場合)

図表/必要保障額の算出例(独立前の子どもがいる場合)

「収入」のほうが「支出」より多ければ死亡保険に入らなくても大丈夫かもしれませんが、「支出」のほうが「収入」より多ければ、不足分は死亡保険でカバーしておくと安心です。子どもが増えると、「支出」の内訳にある教育費や生活費が増えます。そうなると「収入」が変わらなければ「支出」の分の必要保障額が増えるので、死亡保険は増額しておきたいところです。

また、子どもの教育費を当初は公立で見積もっていたものの結果的に私立を受けることになったというケースでは、「支出」の内訳にある教育費の額が増えるため、その際にも死亡保険を増額しておいたほうが無難です。

住宅ローンを借りてマイホームを購入したとき

住宅を購入したときは、死亡保険を減額できる絶好の機会です。家はとても高額な買い物なので、全額を現金で払うことができる人はほとんどいません。そのため、住宅ローンを借りることになりますが、このときに団体信用生命保険(以下、団信(ダンシン))に入ることがすでに入っている死亡保険を減額してもよい理由です。

団信は、住宅ローンを借りた人が万一、死亡したり高度障害状態になった際に、保険金でローン残債を相殺する仕組みの生命保険です。この保険に入ることで、住宅ローンを借りた人に万一のことがあっても家は残るがローンは残らないわけです。住宅ローンを借りた人が亡くなると、返済義務は遺族に相続されますが、返済が滞ってトラブルになることが考えられます。そのため、ほとんどの金融機関では、団信に入ることを条件に住宅ローンを融資している現状があります。

自分で入っておくべき保険金額を算出するにあたっては、前出の図表にあるように、以後の住居費を「支出」に含めて見積もります。この住居費は、賃貸生活の際は以後の家賃を合計するわけですが、住宅購入後は、住宅ローン部分が団信で肩代わりされるため維持費の合計だけでよくなり、保険金額を数千万円単位で大幅に減額してもよいと考えられます。

その一方で、病気やけがで入院してローン返済が滞る事態に備えて、医療保険の入院日額を増額する人も増えています。また、就業不能保険や所得補償保険など、働けなくなった際に所得補償が得られる保険を検討する人も。

死亡保険を減額して、浮いた保険料でこうした保険を検討すれば、家計にも優しい見直しができそうです。

子どもが独立したとき

子どもが社会人になって扶養を外れると、死亡保険はさらに減額しても大丈夫です。というのは、「支出」の内訳にある教育費を削ることができるからです。生活費についても、子どもが自立すればその分だけ減額できますし、家から勤務先に通うなら家計に食費などを入れてもらうことで、死亡保険で備えるべき額は今までより少なくて済みます。

子どもがすでに大学を卒業して独立しているにもかかわらず、保険金額が数千万円もの死亡保険に入ったままの人も多いのですが、このタイミングで見直せば、不要な保険料を節約できる分だけ家計にゆとりが出ます。これから老後資金づくりに本腰を入れ始める時期なので、保険もすっきり見直してみてはいかがでしょうか。

家族を扶養するとき

体が弱ってきたり要介護状態になった家族を扶養することになった場合は、世帯主の死亡保険や医療保険の増額についても見直しを検討しておくことが大切です。

死亡保険に関しては、世帯主が支える扶養家族が増えるからです。また、家族の介護ばかりに目が行きがちですが、介護する側が介護疲れで入院するケースもよく見聞きします。介護を支える側の保障も、必要に応じて上乗せしておくと安心です。

もちろんそれなりの資産を所持していたり、もしものときに頼れる親族が他にもいるなど、保険に代わる手段がある場合は、この機会にあらかじめ相談しておくのがおすすめです。

家族の介護問題からお金の問題にならないように、事前の備えで安定した暮らしを実現していきましょう。