Social〈社会〉

医師・医療従事者からのメッセージ

聖路加国際病院
顧問
細谷 亮太先生

「建物は、そこを使う人のスピリットで育つ。ペアレンツハウスも、これからが楽しみ。」

地方から来ている難病の子どもたちの治療において、ペアレンツハウスの功績は計り知れません。ペアレンツハウスに泊まることで、親は安心して、ゆったり構えることができますから、子どもの病気を、どう上手に治していくかに集中できます。
付き添うお母さんがピリピリしていたら、子どもたちはただごとではないと思い、治療どころではなくなってしまいます。

今後、ペアレンツハウスの役割は、もっと大きく広がっていいと思います。もちろん「重い病気を抱えた子どもたちと、それをサポートする家族の大変さに寄り添う家」という、そのスピリットは守りながらですが。新しい試みにも、どんどんトライしてほしい。
これからのペアレンツハウスのあり方を、私たち医師も一緒に考えていきたいと思います。

大阪市立総合医療センター
副院長
原 純一先生

「ペアレンツハウスから、小児がんに関する幅広い情報発信を。」

多くの子どもたちの闘病と長年関わってきて深く思うことは、治療環境に対する認識を変えることです。日本では、入院治療が一般的ですが、これがベストだと思ってはいけません。欧米などの先進国では、在宅治療という選択肢があります。特にがんなどは、これまでどおり自宅で家族と過ごしながら治療を受けることで、よい効果を生むことがあるのです。

「子どもは成長する。治すことと育てることの両方を。」

子どものがんや難病との闘いは、長く向き合わなければならないのがほとんどです。ですからこれは、医療だけでなく、子どもたちの教育にも深く関わってきます。子どもの成長・病状に合わせて、勉強ができる社会体制、院内学級の普及などが必要不可欠だと思います。

「ペアレンツハウスには経済的な面以外にも大きな意義があります。」

ペアレンツハウスには、大都市の専門病院に通いやすく、家族そろって自宅のように安らげる、そして経済的にも安心して利用できるといったメリットがあります。さらに大きな意義は、同じ境遇にある子ども同士、親同士が悩みを分かち合い、情報交換できる場になっていることです。今後、小児がんに関する展示スペースを常設し、一般に公開するなど、総合支援センターとしての起点となり、さらに幅広い情報の発信を期待しています。

「子どもたちの未来のために、長期的な支援を。」

30年前に比べると、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどがチームとして子どもを支える体制が少しずつ整ってきました。「医療」「教育」「家庭」が密に連携することは不可欠です。私も小児がんの専門医として、子どもの成長・発達を総合的に支援・保障する社会づくりがさらに推進されるよう、最善を尽くしたいと強く思っています。

日本赤十字社 近畿ブロック血液センター
所長
河 敬世先生

「国の小児がん対策上もペアレンツハウスの存在意義は大きい。」

日本の小児がん対策が、今、大きな一歩を踏み出しました。国の小児がん対策の一つとして、今後は家族などの滞在施設についても整備される予定です。
そういった意味でも、これからペアレンツハウスの役割は大きく、もっともっと広がっていくと思っています。

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
小児腫瘍科 医長
細野 亜古先生

「将来、ペアレンツハウスでも治療ができたらいいですね。」

ペアレンツハウスで家族と一緒に過ごすことで、治療にプラスになることもあります。個人的には、ペアレンツハウスで治療もできるようになったらいいと思います。
自宅のような環境で治療ができること、それが私の夢です。
ご家族の皆さんにお願いがあります。子どもが病気と闘っている時、親として、子どもを愛していることを隠さず、いつもそれを見せてあげてください。子どもたちにとって、その愛情が病気を乗り越えるための大きな力になると私は確信しています。

慶應義塾大学病院
小児科学教室専任講師
福島 裕之先生

「家族が悩みや喜びを共有できるペアレンツハウスの役割は、ますます大きくなります。」

同じ悩みや喜びを共有できる子ども同士、親同士のつながりはとても大切です。そういう場としてもペアレンツハウスの存在は大きいですね。
心臓病の場合、身体を安静にすることに加え、心も安らげることが必要です。だから、自宅と同じように家族と一緒に過ごすことができる施設があることは、とても重要です。

ソーシャルワーカー
西田 知佳子さん
(元・聖路加国際病院 社会・心理科マネージャー)

「気軽に相談できるサポート施設として、ペアレンツハウスが存在し続けてくれるといいですね。」

お子さんが重い病気にかかったことで、子育てに自信をなくされる親御さんもいます。そんなとき気軽に相談できる誰かが側にいればいいのですが、核家族化が進む今の社会では悩みを一人で抱えて込んでしまう人も多いんです。
その点、ペアレンツハウスはいつでも声を掛けてくれる環境ですので、ご家族にとって大きな支えになっていると思います。
小児がんのお子さんを持つご家族は、さまざまな悩みや不安、問題を抱えているので、社会全体が協力をし合い、長期間にわたりサポートしていくことが大切だと感じています。

利用者の体験談