がんのこと

山下弘子さん 19歳でがんを経験 ~ 生まれてきてよかったな。結婚式で、そう思えました。

山下弘子さん 19歳でがんを経験 ~ 生まれてきてよかったな。結婚式で、そう思えました。

2016年、アフラックの「生きるためのがん保険Days」のCMに出演していただいた山下弘子さん。立命館大学在学中、19歳の若さで肝臓がんを経験。手術し、復学した直後に肺への転移があり、同時に肝臓がんも再発しました。その後も度重なる転移と向きあいながら、がんがあったからこその幸せに目を向け、やりたいことに次々チャレンジ。そんな山下さんが、2017年6月、結婚式を挙げました。実は、最初はするつもりがなかったという結婚式。そこに込めた想いを伺いました。

命の恩人をできるだけ全員集めて、感謝の気持ちを伝えたかった。

最初は結婚式をするつもりはありませんでした。もともと結婚自体もするかどうか、すごく迷っていて、「結婚しても結婚式だけは絶対しないからね」と『結婚式しないしない宣言』をしていたほどです。でもみんなから絶対した方がいいと言われて、まずは結婚式という儀式の意味を調べてみることにしました。すると、結婚式は単なる見せびらかしの場ではなく、感謝の気持ちを伝える場であることがわかりました。

それを調べたのは、ちょうどがんの転移が見つかった時期と重なっていました。去年12月のことです。リンパ節への転移と骨への転移、さらには心膜への転移まで見つかり、体調的にも精神的にも落ちこみ、このまま生きていられるのかなと不安におそわれた時期でした。お母さんの顔を見ると泣いてしまうから、とりあえず離れよう、というくらいパニックになってしまいました。

2,3日後ちょっと冷静になったとき、結婚式を挙げようと思えることだけでも幸せだと気づきました。がんになって、今日まで生きてこれたこと自体、奇跡。いろいろな人とのご縁をいただき、小さな奇跡の積み重ねで今の自分がある。なんでもない日常にこんなにたくさんの奇跡があふれている。そう気づいた瞬間、がんの転移が見つかった直後にも関わらず、とても大きな幸せに包まれた気持ちになりました。

それと同時に、私はまだ大切な人たちに感謝の気持ちを伝えていないという後悔の気持ちがわきあがってきました。命の恩人をできるだけ全員集めて、元気な姿を見せて、感謝の気持ちを伝えたい。それが結婚式をしようと決意した理由です。

結婚式の準備は、泣いたり、笑ったりでなかなか進みませんでした。

料理、お花、音楽、手書きの席札、結婚式に来てくれる人のことを考えながら、準備していきました。この人は、どうして私と出会ってくれたのかな、ということを振り返ることから始めました。一人ひとりに、ありがたいご縁だなという気持ちをどうしても伝えたかったんです。

準備期間は苦しかったです。私にとって特別な意味をもっていたので、意気込みが大きすぎました。よかったこと、悪かったこと、さまざまな思い出がよみがえって、考えすぎて前に進まない。泣いたり、笑ったりでなかなか進みませんでした。悲しいときより、幸せなときの方が泣けるんですよね。幸せだな、ありがたいな、って泣いてしまう。ウエディングドレスの試着のときにも感動して、泣かないようにこらえました。まだ、今じゃない、って。

ただ、ただ幸せな結婚式でした。

当日、結婚式の会場でみんなの泣いたり、笑ったりしている顔を見てほっとしました。幸せを感じました。みんなの目線、雰囲気でたくさん愛が伝わってきました。あんなに準備してきたにも関わらず、こんなにがんばらなくてもよかったのかな、ここにいるだけでよかったのかな、と思いました。

この人たちに囲まれていたら、大丈夫。そう思えました。参列した方からは、「弘子の応援団の決起集会」と言われました。私を診てくださっている主治医の先生方もいらしてくれて「山下さんが幸せになることが社会貢献」という言葉もいただきました。サプライズで新しい治療の話もでました。次の診察が本当に楽しみです。

この人たちに出会えてよかったし、まだまだ呼べてない大事なつながりの人たちもたくさんいて、この人たちのご縁によって、これからもまた大切な人が増えていくんだろうなと思いました。結婚式の最後には、「出会ってくれてありがとうございます。愛情をくれてありがとうございます。祈ってくれてありがとうございます。努力してくれてありがとうございます」とご挨拶しました。

山下弘子さん 動画 「生まれてきてよかったな。結婚式で、そう思えました。」

2017年6月18日 結婚式

普通にケンカして、普通に笑う、ごく普通の夫婦になりたい。

結婚生活はそのときの状況によってお互いを尊重しながら、無理せず自然体でいきたいな、と思っています。夫は私のことを特別視しない人です。すべてにおいて偏見をもたず、当たり前のように捉えることができる人。夫は一回り年上なので、私は妻でもあり、娘でもあり、妹でもある存在のようです。全部受け入れてくれる反面、ときどき説教もされています。

自分の言葉に力づけられました。

緊急手術が決まって落ちこみそうになっているときに、アフラックのCMが流れてきました。なんだか自分が出てるのに、 画面から伝わる暖かい雰囲気にびっくりしたんです。不思議な感情でした。リアルタイムでテレビで見て、じんわりと、なんだか泣きそうになりました。きっとこれからは、落ちこみそうなときにはこのCMが流れてきて、「ああ、そう言ってたな」って逆に元気づけられ、本来の自分を思い出させてくれそうだと思えました。そのとき感じた、すくわれたような気持ちは、人生の中の大きな宝もの、つながり、道のひとつになっている気がします。

命の恩人はいたるところにいます。

たまたま乗ったタクシーの運転手さんが、私がお医者さんと電話で話しているのを聞いて察したらしく、降りぎわに「絶対大丈夫。応援しているから」と言ってくれて、とても嬉しかったことがありました。その何気ない一言によって私は前向きになれました。そんな一度きりの出会いでも、その人は私にとっては命の恩人の一人です。

今、とても幸せです。
人生、幸せに気づけるかどうかだと思います。

私はいろいろなことを経験して、いろいろなことを感じて、結婚式っていいなと思えることができました。最初はするつもりがなかった結婚式ですが、出会いって素晴らしい、生きてるって素晴らしい、生まれてきてよかった、と再認識することができました。

いろいろな人との出会いがあって、ご縁が結ばれて、小さな奇跡が次々起こって、生きている。そのことに気づけるかどうか、気づこうとするかどうかだと思うんです。後悔したくないんです。だからといって無理をするつもりもありません。一瞬、一瞬を大事に、丁寧に生きていたいと思っています。

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