区の無料クーポンで受けた検診で、子宮頸がんが見つかりました。

子どもの頃、テレビでみたプリンセス プリンセスに憧れて、ドラマーになりました。お酒は飲むけど、たばこは吸わないし、不摂生なタイプではありませんでした。33歳の時、区から届いた無料クーポンで受けた検診で子宮頸がんが見つかりました。それまでたまに不正出血もありましたが、女性にはよくあること。そこまで大事と考えていませんでした。最初の病院ですすめられたのは、子宮頚部円錐切除の手術。1週間程度の入院とのことでした。自分が企画したライブの予定があったので、それまでに終わるんだったらいいな、と最初は軽くとらえていました。

けれど、両親に「絶対専門のところで診てもらいなさい」と言われてがん専門の病院へ。そこの先生は診てすぐわかった様子で、細かい検査の後、子宮全摘出の手術を受けることになりました。やはりがんを罹患されている方が来る病院なので設備も整っていて、MRIやCTも最新のものがあり、安心でした。ステージはⅠBでしたが、卵くらいの大きさの子宮に対し、32ミリの腫瘍と、大きめでした。その診断を聞いたのが7月。ライブの予定は8月。まず思ったのは、仕事のキャンセルをどうしよう、ということ。心のどこかで切ったら治るだろうと、まだ明るく思っていました。

笑顔でお話する小林さん

手術のあと、まさか抗がん剤治療を受けることになるとは思ってもみなかった。

手術は6時間50分に及びました。待っていた家族は心配だったと思います。広汎子宮全摘出。病理検査に出すため、そけい部のリンパ節もとりました。手術して終わりかと思っていましたが、その後が大変でした。20センチくらいお腹を切っているので、刃物を入れられた痛みでジンジンして、歩くのもつらかったです。起き上がって歯磨きに洗面台に行くだけで貧血になってしまう状態。

リンパ節をとり、膀胱に近いところの神経を切ってしまっていたので排尿障害も残りました。トイレに行きたいという信号が脳にいかない。尿を出そうという信号もでない。トイレに座っても、したいという気持ちにもならない。尿道に管を通すところからリハビリが始まりました。

排尿の方も少しずつリハビリできたところで一度退院。その間に病理検査の結果が出て、転移が見つかり、抗がん剤治療を受けることになりました。5カ月かかりました。最初のころは、どういう症状が出るかわからなかったので入院。後半は通院での治療でした。後半になるほど副作用がきつくなりました。倦怠感とムカムカする感じがずっと続くんです。寝ていて意識がない時がいちばん幸せ。起きている時は何をしてもつらかった。薬の影響もありマイナス思考になりがちでした。8月のライブもできなかったし、SNSで友人たちの楽しそうな書き込みをみると、なんで誘ってくれないのという気持ちになってしまったり。闘病中は友人からの「がんばったね」という言葉が心に響きました。「がんばって」と言われても、どうしてもがんばれないときもありますから。

夫婦二人暮らしでしたが、退院後は実家で面倒を見てもらいました。副作用に苦しむ娘を見ている親もつらかったと思います。カッコ悪いと思って泣かなかった私。私の前では泣かなかった母も、父の前では泣いていたそうです。闘病中は果物すら自分でむくと疲れたので、サポートしてもらえて助かりました。

闘病中を語る小林さん

保険は無駄にはならない。入っていてよかった。

結婚したときに親にすすめられて、保険に入っていました。毎月の支払額を見るたびに何度もやめようと思いましたが、入っていてよかった。精神的に安心。治療に専念できます。みんなにもがん保険は無駄にはならないからね、とメッセージしています。友達にも子宮頸がんになった方がいるけれど、がん保険に入っていないと、本当に支払いが大変です。入院にしても、手術費にしても、備えあれば憂いなし、です。

個室に入れたのも保険のおかげです。私の場合、排尿にトラブルがあったので本当に助かりました。私は軽い脱毛ですんだので必要なかったけれど、医療用のかつらは30万円くらいするそうです。抗がん剤により、脱毛したり肌が弱くなったりするため、普通のファッション用のかつらだとムレたり、かゆくなったりするので、医療用のオーダーメイドが推奨されています。

年越しライブに参加できて、自分の居場所に戻ってこれたと感じた。

みんな心配して、仕事のオファーもなかなか来ない中、友達が年越しライブに誘ってくれて、ステージに復帰することができました。今でもそうですが、ステージに上がったらスイッチが入って、その瞬間だけはアドレナリンが出てきます。本番中は疲れたと思わなかったけれど、終わったときはすごく疲れていたのを記憶しています。その後コンスタントに仕事が入るようになるまで1年位かかりました。

ドラムを叩く小林さん

神様が自分を選んでがんにしてくれた。

悲しいこと、つらいことがあっても、それが一生続くことは絶対ない、必ず扉はひらくと思っていました。今、悩んでいる人には、絶対大丈夫だよって言ってあげたいです。きっかけは誰かの言葉だったり、何かの曲だったり人それぞれだと思いますが。私はミュージシャンで発信できるタイプの人間だから、神様が選んでがんにしてくれたと思っています。大変な経験を糧にしなさい、と。

がんを経験して、人に感謝できる気持ちをもらいました。久しぶりに会った友達も未だに「身体大丈夫?」って聞いてくれて、ちゃんと覚えていてくれるんだ、気にかけてくれているんだと感じたり。家族、先生、友達、みんながこんなにも自分を心配してくれている。ありがとう。じゃあまた、私は愛で返そうという気持ちです。

音楽で人を楽しませたいと前より強く思うようになりました。ステージで人にエンターテイメントとして感動を与えたい。キラキラな世界をつくりたい。楽しいとか、カッコいいとか、ワクワクする気持ちを音楽からもらったので、それを自分が与えたい。与えるべくして、今ミュージシャンをやれているんだと思っています。

みんなに「検診を受けたら、防げることがあるよ」と教えてあげたい。

私もがんになって初めて知ったのですが、子宮頸がんはウイルス性で性交渉でうつるものと言われているそうです。「1回でも性行為の経験があったら絶対検診に行った方がいいよ」ってみんなに伝えたいです。私自身は子どもがすごく欲しかったわけではないので子宮摘出でも大丈夫だったけれど、お子さんが欲しい方には、子宮摘出は大変なこと。乳がんにしても、おっぱいがなくなるという見た目の変化は精神的な苦痛を伴います。それが嫌だったらみんな早く検診に行って!って思います。早く検診受けたら、そういうことも防げるんだよ、と。「かおりんのおかげで毎年検診に行くようになりました」という報告を聞いたときは、本当に嬉しかったです。

2017年12月現在の情報を元に作成

※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。