健康コラム ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!

「良医」と出会うためのポイント ~ どんな先生を「良医」っていうのですか? ~

病気になったとき、誰もが「良い先生に診てもらいたい」と、思うのではないでしょうか。
信頼できる先生に出会えることが、より良い医療の第一歩となります。
納得のいく医療を受けられるよう、医師や医師を取り巻く現状に対する知識を持ち、
自分にとっての「良医」を見つけましょう。
コラムINDEX
「良医」ってどんな医師だろう
「医師」と医師を取り巻く現状を知ろう
診察中、こんな行動には気をつけよう
「良医」とめぐり会うためのヒント

「良医」ってどんな医師だろう

●「名医」と「良医」の違いって何だろう

雑誌などの特集で、医師の名前、勤務先の病院名、病院の所在地がリスト化され公開されているのを見かけます。いわゆる「名医特集」です。広辞苑によると、「名医」とは「名高い医者・すぐれた医師」と、2つの定義が載っています。要するに、肩書きや優れた論文を発表している医師を指しているように思います。でもその「名医」が必ずしも「良医」であるかどうかは、それだけではわかりません。

あえて「良医」を定義するとしたら、その医師が持っている技量もさることながら、「患者に寄り添える医師」、「患者とともに患者目線で考えることのできる医師」ではないでしょうか。

●自分にとっての「良医」は人それぞれ

良医を探そうとしても、雑誌やインターネットで公開されている情報に出てくる「良医」が、自分にとって「良医」であるかどうか確実ではありません。

また、医師に聞いてみても、「学会などで会って話している時にはとても良い先生なんだが、実際に患者さんにどう接しているのかまではわからない」という答えが返ってくることがあります。

一口に「良医」といっても人それぞれで、患者さんが望む理想の医師とは、患者さんによって異なることが少なくありません。ではどうすればいいのでしょうか。

それにはまず、医師や医療機関とは何かを見極める目を持つことだと思います。

■「良医」のポイント(1)話をよく聞いてくれる(2)わかりやすい言葉で説明してくれる(3)薬や検査よりも、生活指導を重視する(4)患者の家族の気持ちまで考えてくれる(5)患者が住む地域の医療や福祉まで考えてくれる(6)医療の限界を知っている(7)患者の痛みやつらさ、悲しみを理解し、共感してくれる(8)他の医師の意見を聞きたいという患者の希望に応じてくれる(9)ショックを与えずに真実を患者に伝えられる(10)専門外について適切に専門医を紹介する(11)患者の質問に誠実に答える(12)患者の目を見て話す

「医師」と医師を取り巻く現状を知ろう

●医師を知る

まず知識として頭に入れておいていただきたいのが、「お医者さんの事情」です。医師であれば病気のことは何でも知っていると思われがちですが、決して万能ではありません。とくに専門医と呼ばれる医師は、他の診療科の病気についてはあまり詳しくないこともあります。

また、日本の医師数は先進諸外国と比較して圧倒的に不足しています。とくに救急医療や小児医療では深刻な医師不足の状態にあります。

大病院の外来患者数が多いのも日本の特徴です。それによって、「1時間も2時間も待たされた挙げ句、診療時間が10分」といった現状が、現在の大病院の問題点でもあります。大病院へ集中している患者のうち、7割の患者さんは診療所やクリニックで対応可能と言われています。

図表1/病床100床あたり 病院スタッフ数の比較 出典:OECD(経済協力開発機構)「Health Data 2008」

■救急医療制度とは?

日本の救急医療制度は、「初期救急医療」「二次救急医療」「三次救急医療」によって成り立っています。

初期救急医療は、「入院の必要がなく外来で対処しうる帰宅可能な患者」への対応機関。二次救急医療は、「入院治療を必要とする患者」に対応する機関。三次救急医療は、二次救急医療では対応できない複数診療科にわたる特に高度な処置が必要、または重篤な患者への対応機関。平たく言えば、「ICU(集中治療室)で治療する必要がある患者」への医療を指します。

こうした体制は、患者側にとっては必要不可欠ですが、病院経営上では大きな負担となっており、近年では不採算な救急医療から撤退する病院が相次いでいます。24時間体制のために当直体制を充実させる必要がありますが、入院が必要な重症患者をみる二次救急病院では、人件費がかさんで体制を強化することができません。その結果、命が危険な急患を搬送する三次救急病院に患者が集中しています。激務で疲弊し、嫌気がさした医師が辞めてさらに業務が激化するという悪循環に陥っています。

こうした状況は日本の医療体制の危機として重大な問題となっています。

●自分の“病気”を正しく理解する

日本の医療は間違いなく世界でもトップレベルです。しかしながら患者さんの満足度や納得度は決して高くはありません。これは医療技術が高くても患者さんと医師とが、お互いをわかり合うことができていないことも一因です。患者さんの満足につなげるためには、患者さんと医療者とのコミュニケーションが必要不可欠となります。

ここで大切なのが、患者さんが「自分の病気や病状についてよく理解し、治療にも主体的にかかわる」ことです。アメリカではごく普通のことですが、日本では医師に依存する傾向があります。

満足のできる医療を受けられるかどうかは、患者さん自身が医師をはじめとする看護師や他の医療スタッフにどのようにアプローチできるかにあります。納得できる医療とは、医療者まかせにしないことを意味します。

診察中、こんな行動には気をつけよう

●専門外の病気についても自分ですべて話そうとする

本来専門医は自分の専門分野の診療に特化しています。専門外については他の専門医と連携して患者さんの治療にあたります。もし、自分の専門外の病気であれば「私の専門ではないので、専門の○○先生を紹介しましょう」と真摯に答えてくれるでしょう。

●患者さんの質問にきちんと答えられない

患者さんからの質問に答えることは医師としての義務です。やたらと威張っていたり、すぐに怒り出すような医師は自分の診療に自信がないのかもしれません。ましてや自分の知らないことを聞かれて不機嫌になるような医師には注意が必要です。

●やたらと専門用語を使う

良医は自分の専門を熟知してる一方、専門用語を使用せずに相手のレベルに合わせて説明することができます。ときには笑顔を交えながら、例え話を挟んでわかりやすく丁寧に説明してくれます。

●患者さんの目を見て話さない

本来であれば、患者さんの顔色や肌の具合、目の輝きといった重要な身体症状を観察する必要があります。にもかかわらず、症状や治療法についての説明の時に患者さんの目を見ずにカルテやパソコンばかり見ている医師がいます。診療に自信がない場合や、患者とのコミュニケーションをとる気持ちが欠けていることのあらわれである可能性があります。

「良医」とめぐり会うためのヒント

●かかりつけ医を持つ

多くの方々は、知り合いに親身に相談に応じてくれるような医師がいません。けれど、先進諸外国では家庭医制度があり、地域の開業医が家族全員の医療相談や初期治療に対応しています。日本では“かかりつけ医”がそれにあたりますが、大きな違いは、先進諸外国の場合は病気になった時には誰もがまずはじめに家庭医を受診することにあります。これは、日本のように誰でも好きな病院を受診(フリーアクセス)できないことが制度で決められているためです。

日本では「かかりつけ医」という制度が未整備なため、主治医をかかりつけ医と誤解している場合が少なくありません。主治医とかかりつけ医の役割はまったく違います。かかりつけ医は皆さんの身近な存在として医療全般を担ってくれる医師のことを意味します。良いかかりつけ医を持つことが、良医と出会うことになります。

図表2/現在の受診状況とかかりつけ医を持った場合の受診イメージ

【かかりつけ医を持った場合】

●病院や医師を選択できる目を養う

診察の結果、精密な検査や入院の必要があると診断された時は、適切な専門医療を受けられる病院を紹介したり、介護が必要な方であれば老人保健施設などを紹介します。

かかりつけ医は患者さんの普段の健康状態やこれまでの病歴など多くの情報を持っているため、適切な医療機関(医師)を紹介することができます。

かかりつけ医を持つことで、皆さんの病状に最善な医療をコーディネートしてもらえます。

ではどうやって「かかりつけ医」を探せば良いのでしょうか。かかりつけ医制度が未整備な日本においては難しい状況にあることは否定できません。地域で行なわれる健康まつりや市民検診、市民公開講座などへ積極的に出席して医師と交流を持つことや、口コミ情報などを指標にされることをおすすめします。

■かかりつけ医を持つことのメリット ・病気(医療)について気軽に相談することができる ・家族全員の健康管理をしてもらえる ・検査結果の管理と慢性疾患に対するアドバイスを定期的にもらえる ・普段の状態を知っているため緊急の時に、適切で素早い対応ができる ・適切な専門医を紹介してくれる ・「はしご受診」がなくなり、薬の重複による危険や、医療費のムダがなくなる ・往診や訪問看護をしてもらえる ・待ち時間が比較的短く、受診の手続きも簡単で、じっくり診察してもらえる

協力:株式会社パーソナル・ヘルスデザイン