健康コラム ちょっと気になる健康と病気のマメ知識!

わかれば安心 コレステロール~今すぐできる、脂質異常症チェックと予防生活~

健康診断の保健指導などで、「コレステロールが高めですね」と指摘された方も多いのではないでしょうか。とりすぎのコレステロールは、心筋梗塞や脳卒中などの原因となる動脈硬化を、知らず知らずのうちに進行させます。現状をしっかり把握し、コレステロールを上手に管理して、健康維持に努めましょう。
コラムINDEX
“コレステロール=悪者”と思っていませんか
自覚症状の現れない脂質異常症
脂質異常症を防ぐ生活

“コレステロール=悪者”と思っていませんか

●そもそもコレステロールって何?

コレステロールというと、健康を損なう“悪者”というイメージが強いですが、実際には体に欠かせない重要な物質です。

コレステロールは人体を構成する細胞の膜の材料となります。また、男性ホルモンや女性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸、ビタミンDなども、コレステロールを材料として合成されます。

体が1日に必要なコレステロール量は、約2g。その大部分は肝臓で合成されるので、食べ物から摂取する量は、0.3~0.6gで十分です。

食事からコレステロールを多くとりすぎるなどして体内に必要以上のコレステロールがあると、肝臓で合成されるコレステロールの量が少なくなります。逆に体内のコレステロール量が不足すると、コレステロールの合成が活発になります。このように私たちの体には、体内のコレステロール量が一定に調節される仕組みが備わっています。

●悪玉と善玉コレステロールの正体とは?

肝臓で合成されたコレステロールと食べ物からとり入れたコレステロールは血管に送り出されて、体のすみずみまで運ばれます。

ただし、コレステロールは脂肪ですから、そのままでは水が主成分である血液中に溶け込むことはできません。なので、「リポたんぱく」と呼ばれる水になじむ粒子に含まれて、血液中を流れていきます。

このコレステロールの乗り物となる「リポたんぱく」には、いくつか種類がありますが、代表的なものは次の2つです。

(1)LDL:コレステロールの生産工場である肝臓から、全身にコレステロールを運びます。ただし、血液中にコレステロールが増えすぎると、血管壁にたまって動脈硬化を引き起こします。“悪玉コレステロール”という言葉を聞いたことがあると思いますが、その正体はまさにこのLDLコレステロールです。

(2)HDL:全身をめぐって体内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きをします。また、血管壁にたまっているコレステロールを血管壁から引き抜いて回収します。そのため、“善玉コレステロール”と呼ばれます。

悪玉と善玉コレステロールの正体とは?

■中性脂肪にも注意して

血液中の脂質には、コレステロールのほかに中性脂肪があります。

体の多くの臓器や筋肉が活動するときのエネルギー源となるのは糖質です。しかし、糖質が不足してくると、中性脂肪が使われます。

中性脂肪も、コレステロールと同じように肝臓で合成されたり、食べ物からとり入れられたりします。血液中に放出された中性脂肪は筋肉などでエネルギー源として使われ、余った分は皮下や内臓の周囲に体脂肪として蓄えられます。体脂肪からは必要に応じて、中性脂肪が血液中に送り出され、エネルギー源として使われます。

ただし、必要以上に増えると、LDLコレステロールが血管に入り込みやすくなったり、HDLコレステロールの量が減ったりして、動脈硬化を促進することが知られています。

自覚症状の現れない脂質異常症

●LDL、HDL、中性脂肪の数値に注目

血液中のコレステロールや中性脂肪の量がどのくらいあるかは、血液検査によって調べることができます。

空腹時の採血の結果、次の3つのうち、1つでも当てはまると「脂質異常症」と診断されます。

LDLコレステロール値……140mg/dL以上
HDLコレステロール値……40mg/dL未満
中性脂肪………………………150mg/dL以上

脂質異常症があっても、通常は、自覚症状は現れません。そのため、脂質異常症と診断されても、気にとめないで放置しておく人が少なくないようです。しかし、それはとても危険です。知らない間に体内では動脈硬化が進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞などの発作を招きます。

脂質異常症の診断基準に該当する場合は、値の改善に努めましょう。たとえ診断基準に該当していなくても、毎年の健康診断で、診断基準に近づいている値がある場合も要注意です。特に、LDLコレステロール値が120~139mg/dLは「境界域」です。早めの対策が望まれます。

●こんな人が脂質異常症になりやすい!

これまでのさまざまな調査や研究から、脂質異常症になりやすい条件がわかってきました。下のチェックリストで該当する項目が多いほど、危険度が高いといえます。

□家族に脂質異常症や動脈硬化の人がいる
□肥満傾向である
□高血圧である
□日頃、あまり運動をしない
□お酒をよく飲む
□痛風がある
□糖尿病、あるいは血糖値が高めである
□肉や脂っこい食べ物を好む
□甘いものや乳脂肪製品(生クリームや洋菓子)が好き
□女性で閉経している

●なぜ閉経した女性は脂質異常症になりやすいの?

上のチェックリストの中に「女性で閉経している」という項目があります。閉経と脂質異常症、どういう関係があるのでしょうか。

閉経は主に、エストロゲンという女性ホルモンの分泌の減少によってもたらされます。エストロゲンは月経や妊娠など女性としての体の働きに作用するだけでなく、体内でさまざまな働きをしています。脂質に対しては、LDLコレステロール値を下げ、HDLコレステロール値を上げる作用があります。

そのため、閉経を迎えた女性はエストロゲンが少なくなっていることもあり、脂質異常症になりやすくなります。実際、女性のLDLコレステロール値の平均は、50歳代で男性を上回り、それ以降、ずっと男性よりも高い状態が続きます。HDLコレステロール値は、男性よりも低くはなりませんが、中高年になるとその差が縮まってきます。

図表1/性・年齢階級別LDLコレステロール値

図表1/性・年齢階級別LDLコレステロール値

厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査報告」より作成

図表2/性・年齢階級別HDLコレステロール値

図表2/性・年齢階級別HDLコレステロール値

厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査報告」より作成

■若くてLDLコレステロール値が高い人は「家族性」が考えられます

LDLコレステロール値は、男性は30歳代から、女性は50歳代ぐらいから高くなります。ところが、子どもでも高い場合があります。「家族性高コレステロール血症」と呼ばれる病気で、細胞が血液中からLDLコレステロールをとり込む働きに異常があるために起こります。一般人口の約500人に1人の割合で発症するといわれています。

「家族性高コレステロール血症」では、黄色いコレステロールなどの塊(黄色腫)がアキレス腱や目のふち、肘や膝の外側などによくできます。黄色腫と思われる症状に気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

脂質異常症を防ぐ生活

●脂質異常症の改善や予防のポイントは「食事」と「運動」

糖尿病や高血圧と同じように、脂質異常症もその多くは生活習慣に関連した原因が重なって発症します。

言い換えれば、脂質異常症を引き起こすような生活習慣をなくすことができれば発症リスクは減るということです。

では、どのような生活習慣が原因になるかというと、過食や高脂肪食などの食事と運動不足が代表例です。まずは、この2つに気をつけることから始めましょう。

●食材を選びましょう

食事の基本は栄養バランスです。炭水化物、たんぱく質、脂肪の三大栄養素をバランスよくとりましょう。理想の割合は、全体を100とすると、炭水化物60、たんぱく質15~20、脂肪20~25です。現代の日本の食生活では、たんぱく質と脂肪をとりすぎる傾向があります。自分の食生活を振り返ってみましょう。

積極的にとりたい食材として挙げられるのが食物繊維です。摂取した食事のコレステロールの吸収を抑え、排泄を促します。

逆に控えめにしたいのが、レバー、モツ、たらこ、いくらなど、コレステロールを多く含む食品です。また、バターやラード、生クリームなどの動物性脂肪も控えめにしましょう。

同じ脂肪でも、サラダ油やコーン油などの植物性脂肪や、さんまやブリ、いわしなど青背の魚の油はLDLを減らし、HDLを増やす不飽和脂肪酸を多く含みます。調理油は、植物性の油を使い、バターなどの動物性の油は使わないなどの工夫をしましょう。

積極的にとったほうがよい食品 野菜:ごぼう、切干大根、ほうれん草、春菊、小松菜、ブロッコリー、さつまいも など 海藻:ひじき、わかめ、昆布、もずく など 豆類:大豆、豆腐、納豆、あずき、そらまめ など きのこ類:しいたけ、しめじ、えのきだけ など
ひかえめにとったほうがよい食品 コレステロールを多く含む食品:レバー、モツ、たらこ、いくら、ししゃもの丸干し、塩辛、すじこ、卵の黄身 など 動物性脂肪:バター、生クリーム、ラード、肉の脂身 など

●エネルギー量は必要以上にとらないこと

一般に人は炭水化物、脂肪、たんぱく質によってエネルギーを摂取しています。必要以上のエネルギーをとると、私たちの体は脂肪に合成して蓄える性質があります。適正エネルギー量を超えないように食事量を調整しましょう。

<適正エネルギー量の求め方>
身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
標準体重×25~30(運動量や体格に応じて)=適正エネルギー(kcal)

(例)身長170cmで肥満の人
1.7×1.7×22=約63.6kg
63.6×25=1,590kcal

●有酸素運動1日30分以上を目指そう

適度な運動はLDLコレステロール値を減らすだけでなく、HDLコレステロールを増やす効果があります。

運動には短距離走やウエイトリフティングのような瞬発的な無酸素運動と、ジョギングや水泳のような長時間にわたっても続けられる有酸素運動があります。コレステロールの管理に有効なのは有酸素運動のほうです。中でも、おススメは、比較的無理なく安全に行えるウオーキングです。腕を振り、大股で、姿勢よく歩くと、通常のウオーキングに比べ、運動効果が高くなります。

1日に30分以上のウオーキングを、少なくとも1週間に3回以上行うのが理想です。一度にまとまった時間をとれない人は、1日に10分間のウオーキングを3回行ってもよいでしょう。

部屋の掃除や買い物など、普段の生活の中で体を積極的に動かすことも忘れずに。

有酸素運動1日30分以上を目指そう

●そのほかの実行したい生活習慣

喫煙は、LDLコレステロール値を上昇させ、HDLコレステロール値を低下させます。特にHDLコレステロールへの影響は大きく、食事や運動にいくら気をつけても、タバコを吸うことでその努力は水泡に帰してしまうことになります。

タバコを吸っている人は、すぐに禁煙しましょう。また、タバコを吸わない人も、他の人が吸ったタバコの煙を吸わないように注意しましょう。

アルコールは適量であればHDLコレステロールを増やして動脈硬化の進行を抑えますが、飲み過ぎると、エネルギー過剰につながります。余分なエネルギーは中性脂肪となり、皮下や内臓に蓄積され、肥満のもとに。中性脂肪の値がある程度増えると、適量のアルコールを飲んでもHDLは増えなくなります。

アルコールは1日に日本酒にして1合、ビールなら中ビン1本、ウイスキーはダブルで1杯程度にとどめましょう。

協力:オーエムツー(荻 和子)