2021年、1度目のがん。「ついに俺にもきたか」と思った。
「あ、俺の番が来たんだ。がんって、本当に誰でもなるんだ。」 人間ドック以外では病院のベッドに寝たこともないような、健康な人生。 2人に1人ががんになると言われる時代。がんになった友人もいたけれど、自分ががんに、だなんて夢にも思わなかった。
だからこそ、74歳でステージ4の悪性リンパ腫と診断され、驚きを隠せませんでした。 何もわからなかったので、「ステージ4というのは、意外と治るものですかね?」と先生に聞くと、「うん、五分五分だね」とおっしゃって。 でも逆に、五分は助かるんだなと。家族は心配していましたが、ポジティブに、自分らしくいようと思いました。
詳しい話や今後のことを誰かに相談するなんて、頭をよぎりもしませんでした。ただ、とにかく先生の話を聞こうという気持ちでした。 生存率や治療法などを自分で調べる方もいらっしゃると思いますが、僕は調べれば調べるほど不安になってしまうので、あえてネットを見ないようにしていました。 基本的には先生の言うことをよく聞いて治療していただこう、という考えだったんです。
ダメだったら、ということは考えませんでしたね。絶対にうまくいくだろうって思っていましたから。先生や看護師の皆さんがとてもいい方々で、こちらの疑問に対していろいろと教えていただきました。 そうして抗がん剤による治療を進めていき、3月に告知されたがんは11月に寛解しました。
一生のうちにがんと診断される
割合は?
男性62.1% 女性48.9%


※国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」グラフデータベース累積罹患リスク
(2003年・2020年のデータに基づく)をもとにアフラック作成
一生のうちに2人に1人が
がんと診断される時代。
身近な病気であるがん。以前と比較してもがんと診断される人は増加しており、今や一生のうちに2人に1人ががんと診断されるといわれています。
一方で、医療の進歩とともに、早期発見や治療の多様化により、5年生存率が上昇しており、がんは治る時代になっています。
医療の進歩とともに生存率は改善され、かつてのように不治の病ではなく、「がんとともに生きる時代」に変わりつつあります。
がんにかかるリスク(※1)
年齢階級別 累積罹患リスク 2020年 全部位
- (※1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」グラフデータベース累積罹患リスク(2020年のデータに基づく)をもとにアフラック作成
5年生存率の推移(※2)
(2024年10月時点の最新データ)
- (※2) 全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年 生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)、独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書をもとにアフラック作成
- (※1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」グラフデータベース累積罹患リスク(2020年のデータに基づく)をもとにアフラック作成
- (※2) 全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年 生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)、独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書をもとにアフラック作成
寛解して順調な毎日を過ごす中、まさかの再発。
2度目のがんに。
寛解してからも、毎月欠かさず病院で検査を受けていました。
そうして3年が経ち、寛解半年後から再開した仕事も順調。手帳がスケジュールでびっしり埋まるくらいバリバリ働いていました。検査に行っても、「そろそろ検査の頻度を減らしてもいいんじゃないか」なんて、冗談っぽく先生に話したりしていました。
でもその翌月の検査で、先生に言われたんです。「落合さん、腫瘍反応が出ています」って。
がんが再発していました。1度目と同じ悪性リンパ腫です。いわゆる血液のがんだったので、どこにできてもおかしくないのだと説明されて。そのときは、小腸、大腸、肝臓に悪性腫瘍ができていました。
治ったと思っても、がんってまたできるのかと、かなりショックを受けました。1度目はなんとか乗り切ることができましたが、一度寛解したと言われていた分、再発したと聞いて精神的に落ち込みました。
仕事も全部キャンセルさせてもらいましたが、申し訳ない気持ちでいっぱいで。代わりの方を探すなどの対応をしていても、辛い気持ちは常につきまといました。
治療は6月から始めて、11月に退院しました。2度目の入院期間は、予想以上に長かったです。1度目は3週間の入院で済んだのに、このときは5か月半くらい入院しました。
予想外だらけの治療生活。ちょっとした日常のことも制限されるなんて、思わなかった。
入院中、まず懸念していたのは体力が戻るのかということ。
5か月以上寝たきりだったので、ベッドから起き上がるのも大変で。また仕事に戻れるのかな、ということも頭をよぎりました。
免疫力が落ちていて感染症にかかりやすい状態だったので、面会は基本的に妻だけ。病院食は気が進まなかったので、毎日のように「好みの食べものを持ってきてくれ」と甘えていました。
2回目の入院は、初めてのがん治療と比べても格段にきつかったです。僕の場合、薬剤が24時間、1週間繋ぎっぱなしだったんです。今思い返しても、本当にしんどい経験でした。5か月の治療を経て、ベッドからすぐそこのトイレまで歩くこともできないくらい、すっかり弱ってしまいました。
副作用で、手足の指先は痺れてしまって。感覚が鈍っていたので、爪を切る時に指先まで切っちゃったこともありますし、今でも手足の指先に痺れが若干残っています。
食欲もありませんでしたね。倦怠感もありました。何も食べられなかったし、何もしたくなかったんです。ただ、何も食べないわけにはいかないので、無理して食べたりもしていました。
治療の影響で、小腸にも傷がつきました。手術はせずに治したのですが、2週間絶食しました。でも、絶食期間中は食欲があったんです。食べてはいけない分、テレビや携帯で人がおいしそうに食べている動画を見て元気をもらっていましたね。
治療がひと段落したときに、1週間ほど自宅で過ごせる期間も何度かありました。ただ、タクシーで病院から自宅に帰ってきても、免疫力がないので、家の外には出ないようにしていました。飼っている3匹の犬ともあまり長い時間は戯れちゃいけない、土弄りや花を触ることも控えるようにと先生から言われていて。
ちょっとした日常のあれこれも、健康だからできていたことなんだと気づきました。
治療の副作用で味覚障害に。料理人なのに、食べること自体がストレスになった。
入院して治療が始まってから、何を食べても味がしない、そんな時期が何度もあったことを覚えています。治療の副作用で味覚障害が出ていて、食べること自体が本当にストレスになってしまいました。
自宅療養期間中、食欲が戻ったタイミングで、いつもの感覚で味付けをして料理を作ったことがありました。うまくできたと思って妻に出してみたらなんと、「塩味が強くて、食べられないよ」と言われたんです。
僕は本当にちょうどいい味だと思っていたし、もう少し塩を入れてもいいけど控えめにしておこう、くらいに思っていました。
そのとき、味覚障害って本当に起こるんだって思いましたね。人によって味がしない、酸味や苦味が感じづらい、などあると思いますが、僕の場合は塩味を感じづらくなっていたんです。
あ、もう料理の仕事には戻れないかもしれないと焦ったのを、今でも思い出します。
頭の中では、治療が原因で一時的に体質が変わっているだけで、これが続くわけではないとは理解していましたが、当時は衝撃でした。
今、味覚障害はないです。寛解と言われてから料理をした時には、無事に味覚が戻っているな、と感じました。その後、仕事にも無事復帰することができました。
高額な治療費に、長期の入院費。がん保険と妻の心配性に救われた。
「2回目だから、前回と同じ治療では治らない」と先生に言われ、先進医療(※)も試しました。
抗がん剤治療よりも辛い治療でした。40度くらいの高熱が出たりもしました。
でも、そんなきつい副作用より衝撃だったのは、その治療にかかる金額です。
治療を受けること自体をためらうほど高額でした。
さらに驚いたことに、治療中は長期の入院費に加えて、思ってもいない費用がいろいろ発生するんです。でもがん保険に入っていたおかげで、そういった治療費以外の出費もカバーできました。さらに僕の治療の場合、先進医療の費用にも国からの保障があり、結果的にトータルの自己負担額を抑えることができました。本当に、保険に入っていてよかったと思います。
実は僕自身は、自分ががんになるかもしれない、保険に入らないといけない、ということは少しも意識したことがありませんでした。妻が心配性でいてくれたおかげで、7、8年前にたまたまがん保険に入っていたんです。本当に、そのタイミングで入っておいてよかったです。
今の僕があるのは、「保険に入っておいた方がいいよ」と言ってくれた妻のおかげですし、頭が上がりません。保険は入っているのと入っていないのとでは全然違うって、周囲の人みんなにオススメしたいくらいです。
(※)先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術のことです。原則、公的医療保険制度の対象にならず、大きな自己負担が生じることがあります。
これからの仕事のこと。そしてみなさんに伝えたいこと。
寛解したあと、味覚は戻りました。今は、がんになる前と同じように食事を楽しめていて、本当に安心しています。
仕事にも復帰することができました。いままで通り料理ができているし、鍋も振れています。少しずつですが、国内外への出張の仕事も再開していて、今はすごく楽しいです。がんが治り、また料理に携われていることが本当に嬉しいんです。
そしてこれからは、がんになった経験を伝えていきたいと思っています。周りの友人にも、「ちゃんと検査行った方がいいよ、保険のこととか考えてる?」と話しています。
がんになると、家族も辛いですから。僕の妻も必死に情報を集めて、いろいろなことを先生に質問したりしていました。アフラックのがん保険には、患者さん本人だけではなく、その家族も不安や悩みを相談できる相談サポートがあると聞き、いいなと思いましたね。
若い方や、まだがんを経験していない方は、がんに対する漠然とした不安があると思います。僕自身は家族や先生のおかげで前向きでいられたのですが、僕はこの経験が、みなさんが前向きになるきっかけになれたら嬉しいです。
治療中はもちろん辛いのですが、不安なときこそやっぱり前向きでいることって大事で。「またおいしいものが食べたい。料理がしたい」そういう気持ちが、僕の治療の支えとパワーになったと感じています。
2025年7月現在の情報を元に作成
※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。