生命保険料控除とは|新制度・旧制度の違いや控除額計算の具体例を解説

所定の生命保険に加入している人は、生命保険料控除を適用することができます。

ここでは、生命保険料控除の適用額の計算方法や申告の手続きの流れについて知りたい人に向けて解説します。平成22年度税制改正による生命保険料控除制度の改正についても解説します。

そもそも生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、所得控除のひとつです。所得控除とは、所得から所定の金額を差し引き、課税対象額から控除する仕組みです。生命保険に加入すると、1年間の払込保険料に応じて一定額を所得から控除できます。

所得控除をきちんと申告すれば、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。生命保険に加入している場合は、忘れずに申告の手続きをしましょう。

生命保険料控除の対象となる保険料

生命保険料控除の対象となる保険料は以下のとおりです。

一般生命保険料:生存または死亡に起因して支払う保険金・その他給付金に係る保険料
介護医療保険料:入院・通院などにともなう給付部分に係る保険料
個人年金保険料:個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険に係る保険料

  • 死亡保障と介護・医療保障をかねた組込型保険については、法令などに基づき一定の条件を満たす場合に「介護医療保険料控除」の対象となります。

所得税・住民税控除の限度額

保険料の支払いにより控除される金額には、上限が設けられています。所得税・住民税の控除の限度額を控除区分ごとにまとめると、以下のとおりです。

各控除区分 所得税 住民税
一般生命保険料控除 40,000円 28,000円
介護医療保険料控除 40,000円 28,000円
個人年金保険料控除 40,000円 28,000円
制度全体の所得控除 120,000円 70,000円
  • 一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の住民税の所得控除限度額はそれぞれ2.8万円ですが、合計した場合は7万円が限度額となりますのでご注意ください。

生命保険料控除の適用を申告する際は、限度額があることも理解しておきましょう。

2012年1月1日以後の保険契約は改正された制度が適用される

平成22年度税制改正によって生命保険料控除制度が改正されており、保険契約の締結時期によって適用される制度が異なるため注意が必要です。新制度が適用されるのは、2012年1月1日以後に締結した保険契約です。改正前のいわゆる旧制度も存続しており、2011年12月31日以前に締結した保険契約には旧制度が適用されています。
ただし、契約日が2011年12月31日以前の契約であっても2012年1月1日以後に更新・特約中途付加などの異動により契約内容が変更された契約は以後の保険料(契約全体の保険料)が新制度適用契約となります。

新制度と旧制度では控除区分や控除額が異なるため、それぞれの違いを押さえておきましょう。

旧制度と新制度は控除区分が異なる

旧制度と新制度では、以下のとおり控除区分が異なっています。

旧制度 新制度
控除区分
  • 一般生命保険料控除
  • 個人年金保険料控除
  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

一般生命保険料控除や介護医療保険料控除は、保険金等の受取人がその保険料等の払込をする方、またはその配偶者、その他の親族である必要があります。

個人年金保険料控除は、保険料の払込期間が10年以上で個人年金保険料税制適格特約が付加されている必要があります。ほかにも、年金の受取人や年金支払時期や期間などに関する条件を満たしている必要があります。

控除対象外の特約が設定された

特約によっては生命保険料控除の対象外となる場合があります。たとえば、身体に傷害が発生した場合に保険金が支払われる傷害特約や災害割増特約などは、新制度では生命保険料控除の対象外です。

保険契約の際は、生命保険料控除の対象になる特約か、対象にならない特約か確認しておきましょう。

控除の限度額も異なるので注意

新制度と旧制度では、生命保険料控除限度額と計算方法が異なります。保険契約を締結した時期によって異なるため、注意が必要です。新制度と旧制度の控除額についてそれぞれ解説します。

新制度の控除額

新制度における所得税の年間払込保険料に対する控除額は、以下のとおりです。

年間の払込保険料など 控除額
20,000円以下 払込保険料などの全額
20,000円超~40,000円以下 払込保険料など×1/2+10,000円
40,000円超~80,000円以下 払込保険料など×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円
  • 一般、年金、介護医療あわせて120,000円が限度

また、新制度における住民税の年間払込保険料に対する控除額は、以下のとおりです。

年間の払込保険料など 控除額
12,000円以下 払込保険料などの全額
12,000円超~32,000円以下 払込保険料など×1/2+6,000円
32,000円超~56,000円以下 払込保険料など×1/4+14,000円
56,000円超 一律28,000円
  • 一般、年金、介護医療あわせて70,000円が限度

旧制度の控除額

旧制度における所得税の年間払込保険料に対する控除額は、以下のとおりです。

年間の払込保険料など 控除額
25,000円以下 払込保険料などの全額
25,000円超~50,000円以下 払込保険料など×1/2+12,500円
50,000円超~100,000円以下 払込保険料など×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円
  • 一般、年金あわせて100,000円が限度

また、旧制度における住民税の年間払込保険料に対する控除額は、以下のとおりです。

年間の払込保険料など 控除額
15,000円以下 払込保険料等の全額
15,000円超~40,000円以下 払込保険料など×1/2+7,500円
40,000円超~70,000円以下 払込保険料など×1/4+17,500円
70,000円超 一律35,000円
  • 一般、年金あわせて70,000円が限度

【具体例あり】新制度・旧制度の生命保険料控除額を計算しよう(所得税の場合)

新制度と旧制度の生命保険料控除額は、実際に計算するとどのようになるのでしょうか。以下で具体例を解説します。

新制度のみの生命保険の場合

ここでは、新制度が適用される一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険についてそれぞれ年間120,000円の保険料を支払った場合をみてみましょう。

年間で支払った保険料が80,000円を超えている場合、所得税において一律40,000円が控除されます。そのため、一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の控除額は、それぞれ40,000円です。すべての控除額を合計すると、120,000円になります。

所得税の生命保険料控除は全体で120,000円が限度であり、上記の場合は上限の120,000円が控除額となります。

旧制度のみの生命保険の場合

ここでは、旧制度が適用される一般生命保険と個人年金保険についてそれぞれ年間120,000円の保険料を支払った場合をみてみましょう。

年間に支払った保険料が100,000円を超えている場合、所得税において一律50,000円が控除されます。一般生命保険と個人年金保険でそれぞれ50,000円を控除できるため、全体の控除額は100,000円です。生命保険料控除の全体の上限には達していないため、100,000円がそのまま控除対象となります。

新制度・旧制度両方の生命保険を契約している場合

ここでは、一般生命保険、個人年金保険、介護医療保険の保険料をそれぞれ年間120,000円支払っており、新制度と旧制度が適用される保険契約をしているケースについて計算してみます。一般生命保険と個人年金保険は旧制度、介護保険は新制度に該当するとします。

旧制度と新制度の控除額は、区別して算出するのがポイントです。新制度は、年間で支払った保険料が80,000円を超えると、控除額は一律40,000円になります。それに対して旧制度は、年間で支払った保険料が100,000円を超えると控除額が一律50,000円になります。

控除額は、一般生命保険と個人年金保険がそれぞれ50,000円、介護保険が40,000円です。すべてを合計すると、控除額は140,000円となります。ただし、所得税の控除額は全体を合計して120,000円が限度となっているため、この場合の控除額は120,000円です。

生命保険料控除を受けるための手続きの流れを解説

生命保険料控除を受けるためには申告の手続きが必要です。ここでは、具体的な手続きの流れについて、パターン別に解説します。

会社員の場合

会社員の場合は、基本的に会社に申請すると生命保険料控除を受けることができます。年末調整の際に申請が必要になるため、会社の案内に従って忘れずに手続きを行いましょう。

生命保険料控除の手続きをするためには、加入している保険会社から送付される生命保険料控除証明書が必要です。保険料控除等申告書に添付して提出してください。

ただし、会社員でも、生命保険料控除をするには確定申告が必要なケースもあります。年間の収入が2,000万円を超えている人や、年末調整の手続きが間にあわなかった人は、確定申告を行う必要があります。

自営業者の場合

自営業者は、所得について確定申告する際に生命保険料控除についても申告する必要があります。加入している保険会社から生命保険料控除証明書が送られてくるため、忘れずに保管しておきましょう。書類に記載されている内容に基づいて、確定申告書へ記入します。

確定申告の受付期間は、翌年の2月16日から3月15日までです。税務署に直接書類を持参する方法もありますが、郵送やe-taxによる電子申告もできます。

家族の保険料も自身が支払っている場合

家族の保険料を自身が支払っている場合も、生命保険料控除に含めることが可能です。たとえば、配偶者が生命保険の契約者であっても、本人が保険料を支払っている場合は本人の控除対象になります。

ただし、家族の分を含めても、控除額の上限は変わりません。家族の分をあわせると保険料が高額になる場合も、すべてが控除対象になるわけではない点に注意しましょう。

生命保険料控除証明書は電子発行が可能

基本的に、生命保険控除証明書は郵送により届きます。しかし、事前に希望を伝えておけば電子データによる発行も可能です。電子データによる発行を希望する場合は、早めに保険会社へ伝えておきましょう。

電子データなら、e-Taxから確定申告をする際にそのまま資料として添付できます。ただし、印刷してそのまま紙の資料として使用することは認められていません。年末調整や紙の書類で確定申告をする際は、国税庁のWebサイトで公開されている「QRコード付証明書等作成システム」を使用し、要件を満たすファイルに変換する必要があります。

まとめ

生命保険に加入している場合、生命保険料控除を受けることができるケースがあります。新制度と旧制度があるため、自身が加入している保険をよく確認する必要があります。控除を受けるには申告手続きが必要なので、忘れずに対応しましょう。

以下のページでも詳しく説明しています。
生命保険料控除について

(2021年12月作成)

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