退職を迎え、新たな人生のステージに立つときに考えるべきなのが、保険の手続きや見直しです。保険に関する大きな変化としては、次のようなものがあります。
これからどんな人生を歩み、そのためにはどんな保障が必要なのか。退職日までの期間に、できるだけ具体的に考えておきましょう。「この後の人生で何をしたいか・何ができるか」と考えるとどうしても漠然としてしまいますが、保険をメインに考えることで、お金のことや生活のことをより具体的に捉えることができます。
会社勤めをしており、1つの会社でおおむね正社員の3/4の労働日数及び時間、すなわち1週間30時間以上勤務していた場合、加入対象となるのが、社会保険の一種である健康保険です。これは、アルバイトやパートなど正社員以外の契約であっても対象となります。(2016年3月現在)
しかし、退職すると健康保険の資格は喪失することになります。日本では必ず健康保険に加入しなければならないと法律で定められているため、別の健康保険に加入することになります。退職後に転職をしない場合は、多くの人は行政(各市区町村)が運営する「国民健康保険」に加入することになります。
退職後に何の手続きもしなければ、自動的に国民健康保険に加入することになります。もちろん国民健康保険に切り替える書類上の手続きは必要ですが、その手続きが遅れたとしても、退職日の翌日から国民健康保険の資格を得ていることになり、保険料の支払い義務が発生します。
国民健康保険加入の正式な手続きは、退職した日から14日以内に居住地の市区町村役所や、国民健康保険の窓口で行いましょう。退職日が証明できる資格喪失連絡票などの書類、身分証明書、印鑑等が必要です。
退職後も継続して社会保険の健康保険に加入し続けることができます。これを「健康保険の任意継続」と呼びます。次の条件を満たしていれば、最長2年間の継続が可能です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部や、退職前に加入していた健康保険組合で手続きをします。「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」が必要で、退職前に加入していた健康保険組合か、あるいは協会けんぽで入手可能です。
※全国健康保険協会ホームページ http://www.kyoukaikenpo.or.jp/
退職後は、国民健康保険への加入、あるいは会社の健康保険の任意継続を選ぶことができますが、もうひとつ「会社勤めをしている家族の健康保険の扶養親族になる」という方法があります。これにより、被保険者と同じように保険給付を受けることができる「被扶養者」となります。また、被扶養者になると保険料を支払う必要はありません。被保険者(保険加入者)のみが支払うことになります。
被扶養者になるには条件があり、
となります。ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除きます。
被扶養者に収入がある場合の認定基準として、所得の制限があります。
手続きは被保険者が勤務している会社が行いますが、被保険者が健康保険の任意継続に加入している場合、全国健康保険協会支部へ「健康保険任意継続被扶養者(異動)届」を提出する必要があります。
健康保険の切り替えと同じく気になるのが年金の切り替えです。在職時に加入していた「厚生年金」も、原則、退職日から14日以内に「国民年金」に切り替えの手続きを行うことになっています。正確に言えば今まで「国民年金+厚生年金」だったものが、「国民年金のみ」になることになります。
厚生年金の脱退手続きは会社が、国民年金の資格取得手続きは自分で行います。居住地の市区町村役所内、国民年金の窓口に、退職日が証明できる資格喪失連絡票などの書類、身分証明書、印鑑のほか、年金手帳の提出が必要です。
健康保険の切り替えや年金の切り替えに伴い、個人的に加入していた保険の見直しも考えてみましょう。子どもがすでに独立していれば、加入者(被保険者)が死亡した場合、それほど大きな死亡保障は必要ないかもしれません。とはいえ、葬祭費用など、死亡後に必要な費用の保障はあったほうがよいでしょう。
一方で、充実させたいのが医療保障です。高齢になることでケガや病気による入院・手術の可能性は増えてきます。保障が何歳まで続くのか、十分な保障内容なのかなども考慮し、必要であれば保険の見直しをしたほうがよいでしょう。また、介護保険についてもしっかり考えてみましょう。
退職後の手続きには、さまざまなものがあります。保険の見直しについては個人の自由ですが、面倒でも今の保険内容の確認から進めたいものです。家族や親族、周囲の大切な人々に迷惑をかけないための保険選びを行いましょう。
(2016年4月作成)
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