生命保険の必要性について、悩んでいる方もいらっしゃいます。生命保険に入らなければ、もしものときにお金が不足して、自身や家族が窮地に陥るかもしれません。
ここでは、生命保険への加入に消極的な人に向けに、生命保険に入らない場合のデメリットや、生命保険が必要な人と不要な人との違いについて解説します。生命保険は不要と決めてしまう前に、ぜひご一読ください。
生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、調査対象の約2割が、生命保険(全生保)に未加入でした。年代別にみると、30代では男性の17.6%、女性の17.2%が未加入です。また、40代では、男性の9%、女性11%が未加入です。年代ごとに見比べると、30~40代にかけて、保険未加入者は減少していることがわかります。
男女とも40代に差しかかる頃には、ご自身やパートナーの健康に対する不安、子どもの教育費や老後資金など、健康と金銭的な問題に悩みがちです。万が一の事態を乗り越えられるように、保険に加入する人が増えたと推察されます。
お金がなければ自由な生活が脅かされます。生命保険に入らない場合に懸念されるデメリットを解説します。
ご自身またはパートナーが死亡した場合、世帯年収が減ります。主に生計を担っていた人が亡くなってしまうと、遺された家族は公的年金や貯蓄のみでは生活できなくなってしまう可能性があります。子どもがいる世帯の場合、教育費が足りなければ進学できません。墓代や、葬儀代の支払いに困る場合もあります。
日頃、子どもの世話をしていた人が亡くなってしまった場合も大変です。特に未就学児の場合は、面倒をみてもらえる人がいなければ、遺された家族が仕事を辞めなくてはいけなくなるかもしれません。ベビーシッターを雇ったり、保育サービスに預けたりすると出費がかさみます。
生命保険には、病気やケガに備える商品もあります。病気やケガで、手術や入院、長期の通院などで高額な医療費がかかるケースがあります。生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、直近の入院時について、1日あたりの自己負担費用の平均は、23,300円でした。また、入院期間中に要した費用の平均は208,000円です。
病院に支払う費用のほかに、働けない期間の生活費も考慮する必要があります。家計の負担が増えると、よりよい治療法が選べない場合もあります。
生命保険には、個人年金保険という貯蓄型保険があります。個人年金保険は、支払った保険料を老後に向け貯蓄する仕組みです。老後資金をまかなうためには、個人年金保険への加入も有効です。
将来の状況は誰にもわかりません。老後資金が足りなくなり、思い描いていた老後生活と異なった生活を送ることがないよう今のうちから計画的に貯蓄する、貯蓄型保険に加入するなどして、老後の生活資金を用意することが大切です。
家族やご自身の状態を振り返り、生命保険への必要性を判断しましょう。生命保険に加入するべき人について解説します。
パートナーが家事に専念している、家族に要介護者がいるなどの場合は、ご自身が死亡すると収支バランスが大きく崩れると考えられます。特に、就学前や就学中の子どもを育てる場合は、十分な生命保険が必要です。
文部科学省の「子どもの学習費調査(平成30年度)」によると、子どもの学習費総額は幼稚園~高校まですべて公立の場合は約540万円かかるとされています。一方、すべて私立の場合は約1,800万円かかるとされています。教育方針などをよく話し合って必要な教育資金の目安を把握しましょう。大学や専門学校へ進学すると、さらに学習資金は必要になります。
また、病気やケガが原因で高額な治療費がかかる場合や長期間の入院が必要となる場合も家族に大きな影響があるため、医療保険やがん保険、就労所得保障保険なども検討することがおすすめです。
既婚者の場合は、パートナーの収入で生活を維持できる可能性があります。会社員であれば、病気やケガで働けなくなったときには傷病手当金のような社会保障の活用が可能です。
一方、独身者や自営業、フリーランスなどの人は、病気やケガで働けなくなったときに収入が激減してしまう可能性があります。金銭面に助けてもらえるあてがない人は、生命保険に加入してご自身を守る必要性が高いと考えられます。
生活費が不足するだけでなく、病気やケガの治療費などが払えなくなる場合もありますので、医療保障が充実した生命保険に加入することを検討しましょう。
貯蓄の少ない人は、パートナーが死亡、またはご自身やパートナーが病気やケガをした場合にかかる治療費などで生活が困窮してしまうリスクがあります。世帯収入が減っても、貯蓄に頼れないためです。
貯蓄が少なければ、老後の資金不足も懸念されます。ご自身やパートナーの貯蓄が少ない人ほど、万が一のときのために死亡保障や医療保障を準備しましょう。また、これから貯蓄を始めるという人には、貯蓄型保険もおすすめです。
ご自身に万が一のことがあった場合でも遺される家族に十分な資産を渡せる人、病気やケガで長期の入院や手術が必要になった場合でも治療費に困ることがない人など、十分な資産がある場合、生命保険に加入しなくても問題は起きにくいと考えられます。
生命保険の必要性は「公的保障でカバーしきれない部分を補える、貯蓄や資産の有無」で判断できます。個人で十分に備えられる場合は、生命保険は必ずしも必要ではありません。
代表的な公的保障である、高額療養費制度と労災保険制度について解説します。
高額療養費制度とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた分が支給される制度です。自己負担限度額は、所得ごとに5つの区分で計算され、所得が多い人ほど自己負担限度額は上がります。
高額療養費制度では、入院中の食事代や、個室を使った際の差額ベッド代などは対象外です。自身が個室を希望していなくても、大部屋の空きがなく、個室に入らなくてはならないこともあります。
このような生活にかかわる部分は、医療保険に加入するとカバーできる可能性があります。
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進などの事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。労働者は、雇用形態を問わず被保険者となります。
療養中の生活費は、労働者災害補償保険の対象外です。生命保険や貯蓄などで補填する必要があります。また、自営業者やフリーランスは事業主であるため、基本的には労災保険制度の対象ではありません。
労働者が、業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかって療養を必要とするとき、療養補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者療養給付(複数業務要因災害の場合)または療養給付(通勤災害の場合)が支給されます。
補償対象は、病気やケガを治すための治療費、入院費、通院のための交通費などです。
補償は、支給の原因となった症状が治癒するまで継続して支払われます。なお、治癒とは医療行為をしても症状の回復が見られない状態です。
労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から休業補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者休業給付(複数業務要因災害の場合)または休業給付(通勤災害の場合)が支給されます。
業務または通勤が原因となった負傷や疾病が治ったとき、身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者障害給付(複数業務要因災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。
たとえば、障害等級1~7級であれば、障害(補償)等年金・障害特別支給金・障害特別年金が支給されます。障害等級8~14級であれば、障害(補償)等一時金・障害特別支給金・障害特別一時金が支給されます。
障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金の受給者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の方(すべて)と第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している方が、現に介護を受けている場合、介護補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者介護給付(複数業務要因災害の場合)または介護給付(通勤災害の場合)が支給されます。
業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、遺族補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者遺族給付(複数業務要因災害の場合)または遺族給付(通勤災害の場合)が支給されます。
また、葬祭を行った遺族などに対して、葬祭料(業務災害の場合)、複数事業労働者葬祭給付(複数業務要因災害の場合)または葬祭給付(通勤災害の場合)が支給されます。
給付を受け取る権利がある人は、受給資格者のうち最先順位にあたる人のみです。受給資格者は、受給要件を満たす配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。
生命保険に入らなかった場合、ご自身のもしものことがあったときに遺された家族の生活が困窮したり、病気やケガによってかかる治療費などで生活が困窮したりする恐れがあります。家族がいる人、金銭面で頼れる相手がいない人、貯蓄の少ない人などは、生命保険に加入して万が一に備えることを検討しましょう。
(2022年4月作成)
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