あなたにぴったりの保険を選ぶために、まずはじめに知っておきたい保険の基本。
保険の検討に役立つ情報やお悩みを解決するヒントなどを集めています。
STEP1では「保険とは何か」を解説してきました。
次のSTEP2では、どんなときにどんな保障が必要か、「保険のタイプ」についてご案内していきます。
私たちの体は、約60兆個の細胞でできています。正常な細胞の核の中にある遺伝子(DNA)が細胞分裂をするときに、突然変異を起こすと変異細胞が現れます。この変異細胞は、細胞分裂を促す「がん化促進因子」によって細胞のがん化を起こし、さらに、分裂・増殖して腫瘍を形成します。このようなメカニズムでできた腫瘍が「がん」です。
がんは、がん細胞が周りの正常な細胞に侵入したり(これを浸潤という)、血管やリンパ管を通って体のあちこちに定着して増殖(これを転移という)する性質があります。がんは、他の病気にはない「浸潤」「転移」という悪い性質を持っているため、再発したり死に至る可能性がある怖い病気なのです。医学用語で「がん」のことを「悪性新生物」と呼んでいるのは、この悪い性質があることによります。
がんと同じメカニズムで形成される腫瘍に、「上皮内新生物」と呼ばれるものがあります。これは一般的に、がんのような「浸潤」「転移」の可能性がないものを指します。具体的には、上皮内がん、子宮頸部の高度異形成、大腸の粘膜内がん、皮膚のボーエン病などです。
おおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断されています。
がんになるリスクは年齢とともに高くなります。
喫煙は、さまざまながんの原因の中で、予防可能な最大の原因です。肺がんは喫煙との関連が強く、肺がんの死亡のうち、男性で70%、女性で15%は喫煙が原因だと考えられています(※)。
さらに、発がん物質の影響を受けるのは、煙の通り道であるのど、気管支、肺だけではなく、発がん物質のいくつかは、血管を通ってあらゆる臓器に影響を及ぼします。
がんは、日常生活にかかわることで防げるといわれています。公益財団法人 がん研究振興財団による「がんを防ぐための新12か条」(※)を是非参考にしてください。
また、早期発見・早期治療のために、積極的にがん検診を受けることが大切です。定期的に「がん」検診を受けましょう。
・がんを防ぐための新12か条(※)
かつては不治の病と恐れられたがんですが、昨今の医療技術の進歩により、治る病気・治せる病気になってきています。がんは早期発見・早期治療がポイントで、早く見つければその分、治る確率も高まります。がんから身を守るために、定期的ながん検診が有効です。
がん治療は、以前はがんの部位を切除する手術が主でしたが、現在では、三大治療とされる手術、放射線治療、抗がん剤・ホルモン剤治療や、緩和療養など多様な治療があります。
また、三大治療は組み合わせて行う場合があります。
医療技術の進歩や、それにともなう早期発見などを背景に、がんになった場合の通院治療が増えてきています。手術の後に放射線治療や抗がん剤などで定期的な通院が必要になる場合もあります。このように長期化することもある通院に備えて、通院保障にも手厚く備えられる保険を選ぶことが大切です。
がん(悪性新生物)の外来受療率・入院受療率の推移
厚生労働省「患者調査(平成17年、20年、23年、26年、29年、令和2年)」
がん治療において、先進医療が注目されています。先進医療とは、一般の保険診療で認められている医療の水準を超えた最新の先進技術として厚生労働大臣から承認された医療行為のことをいいます。なお、先進医療を受けた場合の技術料に対して健康保険が適用されないため、高額な費用がかかる場合があります。
先進医療・患者申出療養の制度や実施医療機関など、
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こういった、「がん」の治療事情の変化に伴って、がん保険も、新しい治療に対しても保障できるよう、変わってきています。これからは、通院治療や先進医療にも手厚く備えられるがん保険を選ぶことが大切です。
緩和ケアとは、体と心の痛みを和らげて、その人らしく生きることを大切にした医療的アプローチです。がんの緩和ケアと聞くと、「がんが進行して終末期を迎えた患者が対象」と思われがちですが、がんと診断されたときから心身の苦痛を和らげることで、患者とその家族の生活の質を保つ、それが緩和ケアです。
緩和ケアの対象例
がんの種類によって、かかる医療費は異なりますが、他の病気より医療費がかかることもあるのが、がんの特徴です。
がんの治療は大半が保険診療で行われます。よって患者が負担するのは実際の医療費の3割(70歳未満)ですが、がんは治療が長期間になる場合があり、入院前の検査、入院、退院後の通院で治療費が高額になる場合があります。
このようなときに頼りになるのが高額療養費制度です。
公的医療保険の対象となる医療費について、ひと月に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定の金額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度です。
従来の高額療養費制度の仕組みでは、窓口負担が自己負担限度額を超えた場合でも、いったんその額を支払わなければなりませんでしたが、平成19年4月より入院診療について、また平成24年4月1日からは外来診療についても、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができる仕組みが導入されました。
入院時の食事代や差額ベッド代(室料差額)が、医療費以外の費用としてかかります。このほか、通院の交通費、遠方の方が通院治療を受けるためや、付き添いのご家族の宿泊費用など、思わぬ費用がかかることがあります。また、先進医療を受けた場合の技術料(手術等)は、健康保険や高額療養費制度でも適用されませんので、全額が自己負担となります。
入院時に自己負担となる費用の例
がんにかかった場合、治療後の経過を見るために定期的な検診を受けたり、治療後のケアに費用がかかることが予想されます。さらに、治療が長期間にわたるため、仕事を休んで患者本人の収入が減ったり、医療施設ではなく、在宅ケアを選択した場合、家族も介護に参加することになるため、世帯収入の減少も考えられます。
がんには、再発・転移の心配や、がんを原因として休職・休業を余儀なくされるかもしれないというような心配があります。また、がんは治療にともなう副作用などで、心身ともにさまざまな場面でつらさやストレスを感じることがあります。納得いく治療を受け、あなたらしく生きるために、経済的な不安にしっかり備えておくことをおすすめします。